Chapter05-05

記録者: Visitor (ENo. 31)
Version: 1 | 確定日時: 2026-01-11 04:00:00

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あなたの答えを聞いて、吸血鬼はそっと瞳を伏せた。
その影は短く、すぐにまた赤い光がこちらへ向けられる。

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「“どう測るか”って、結局は相手の行いでも言葉でもなく──
 あなた自身の基準でしか判断できないのよ」

細い指先が自分の胸元を軽く叩く。

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「どれだけ尽くされても、
 “愛されている”と感じない人は感じない。
 たったひと言でも、“愛されている”と確信する人だっているでしょう?」

彼女は小さく笑い、しかしその目だけは本気であなたを観察していた。

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「愛を測る基準って、自分の弱さとか、欲深さとか──
 本当の自分が一番よく分かっている“欠けている場所”
 なのかも知れないわね?」

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「誰にどれだけ満たしてほしいか。
 何を与えられたら安心するのか。
 それが“あなたの愛を測る物差し”になる──とかね」

そこで吸血鬼はふと視線を横にそらし、
真っ白な空間の奥にある、あなたには見えない何かを覗き込むように瞬きをした。

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「……あら。そろそろ終わりみたいね」

「次が最後のトイカケだわ。
 ……あなたにとっての“今回”の、ね」

すっと姿勢を正し、赤い瞳がまっすぐにあなたを捕らえる。
まるで“あなたそのもの”を問うために。

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「ねえ──最後に教えて?
 あなたが望む“愛の行き先”はどこ?

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「あなたが欲しいのは、どんな“結末”の愛?」

──あなたが望む愛の行き着く先は、どこですか?
Answer
"愛"という感情は、実に主観的であり感情の中でも特に都合が良いものだろう。言葉一言でも、命の灯火を燃やし尽くしても、どちらにせよ主観で納得するかが決定される可能性の高いものとも考えられる。
質問者の持論なのだろうとはいえ、男もその解釈は理解は出来る部分も無きにしも非ずと言った所だ。とは言え、即座に全てを賛同する事は危険だと感じているのだろう。
それにしても、やっとこの長い時が終わる……問い掛けの数は今までと同じ位であったにもかかわらず、男にとってこれまでで一番長く苦痛と疲労を感じているのだろう。
質問者の問い掛け内容は、愛についてのものが多いと表向きは感じるだろう。しかし男にとってそれは最早、独りよがりの"感情"でしかないと感じられた。
だからこそ今回の問い掛けに対しても、愛を否定するかの様な疑問を感じたのだろう。
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「それは本当に"行き着く先"なのでしょうか?私には"堕ち行く先"としか考えられないのですが」

質問者にとって愛はまるで珠や宝石の様に欲するものとして、少なくとも魅力のあるものとして映っている様だが男にとっての愛と言うものは、最早その存在自体がまやかしの様なものとしか考えられていない様だ。
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「堕ち行くものとして考える者として当然、その果て等と言うものは決まっております。それは貴方であるならば、言わずとも伝わるのでしょう?……目を背けているのならば話は別ですが」

そもそも堕ちた果てに何を見るのだろうか?堕ちた本人だけには何一つ見えない、もしくは常人には理解し得ない世界が見えているのかもしれない。
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「ですがまぁ……堕ち行く人間にとって、それはそれで幸せな事なのかもしれませんね」

堕ち行く人間全てが、一概に不幸だと断定させるには軽率な事だろう。尤も、その幸せというものも当人だけしか感じられないものなのかもしれないが。
この男も、"愛"があったと仮定しその堕ち行く果てを……"独りよがりと思しき幸福"を望むと言うのだろうか?