Chapter03-04

記録者: Visitor (ENo. 31)
Version: 1 | 確定日時: 2025-12-21 04:39:12

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女はじっとあなたの言葉を聞いて、それで、
ふ、と何かを思ったようにあなたに視線を向ける。

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「……あのさ。
 誰かのために生きるって、なんか難しいと思わない?」

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「ああごめん、急にさ。でも……ウチ思うんだよね。
 期待されて、期待に応えようと頑張るじゃん?
 勿論そりゃ、応えるのって義務じゃないけど……出来れば応えたい、じゃん?」

自分の指先でもてあそぶ髪の毛が、ゆるく揺れる。
その指先は、癖のように、逃げ道のように、同じ束を何度も撫でていた。

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「誰かのために頑張るのって、嫌いじゃないんだよ。
 でもさ、その“誰かに似合う自分”を続けなきゃいけないのが、ちょっと怖い」

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「ウチ、そんな器用じゃないし。
 似合う自分のサイズ、毎回ぴったりじゃないんだよね。

女はくすっと笑う。
その笑いは軽いのに、どこか無理に持ち上げた声色だった。

そして、あなたを少し覗き込む。

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「クロは、自分の価値ってどこに置いてる?
 ……他人をどれだけ、自分の価値に使ってる?


──あなたは、自分の価値に他人の評価をどれだけ使っていますか?

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「“誰かのために”動こうとするとさ、
 結局ウチ、自分がしんどくなっちゃうんだよ。
 都合よく使われてる感じ、というか……」

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「でも逆に、全部“自分のため”だけにすると、
 それはそれで空っぽになるんだよね。
 なんかこう……味のしないガムを噛んでる感じ」

だから、と言いかけた口を噤む。
ちょうどいい言葉を探す様に視線が白い天井を揺れて、
ああ、と小さな声を零して、ようやくあなたに視線が戻った。

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「……誰かのために頑張るのって、
 “その人に向けた”自分の“好き”って感情なのかもな」

それで、少し照れくさそうに笑う。

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「ウチは、その“好き”が続けられるかが自分にとって大事……だと思う。
 相手が好きって事……じゃなくて、好きって感情を持てる自分のほう。
 “好きを与えられる自分”、が一番価値がある、と思う……のかな」

うまくまとまらないや、なんて苦笑気味に言った後、
息を細く吐き、椅子にもたれ直す。

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「……ま、そんなに上手くいかないんだけどね、現実は」

Answer
目の前の質問者の話に着いていく事が遂に出来ない領域にまで達している様である。誰かの為に動く、頑張ると言うのも理解し難いがその人間に対して"好き"?何を言いたいというのだろう。
彼女は初対面から口調等、何を言っているのかいまいち理解はできなかったがそれは問い掛け毎にさらに深まっていった。人を好き嫌いで判断している可能性がある。
人であるならば関係性は基本的に相性や波長、更には興味と言ったものでしか、構築出来ないものではないかと考えていたからだろう。
しかし口にする程のものでも無いと思っており、それは質問者の価値観は聞いた所で理解出来るものとは、到底思えないものだからなのかもしれない。
その上そう言った疑問を問い掛ける意味が無いと感じているのは、今までもそうだったからだ。
以前回答したものと似て非なる問い掛けに、回答を添える。
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「……先程も言いました。期待をするという事も、相手方が勝手に期待するというものが、問題であるのかと思われます。ですから他者の評価というものもあまり真に受けるものではないかと思います。自身の価値として他者の評価を使用するにしても、開示された情報というものは極めて限定的なものである可能性が高く、決定するには軽率と言うものではないかと考えます。
それは貴方がこの回答を評価と解釈するのであればそれも例外ではない、と思うのが宜しいかと……」

他者の評価に引っ張られると言うのも、恐らく他者に期待をされる事と同じく真に受けず、重く気に留める事はあまりしない方が良いのだろう。人格と言うものを護る為、本来決めていた自身の在り方を見失わない為にもだ。
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「それにより現実では本来ではありえない利益というものになるのであれば、また別の話ですが。
そうであったとしても他者に無自覚に重荷を背負わせている、という解釈もできるのでは?ならばあまりその思考は好ましいものとは言い難い気がしますね。勝手に期待するという行為と何かと似通っていそうですし」

自身の価値の為に他者の評価を使用する、というのはある種では烏滸がましい行為なのかもしれない。個人の意見を自らの大切な決断に使用する人間もいる。結果が反すれば評価してくれていた他者を恨む可能性もある……勝手に期待を寄せる人間と何の違いがあるのか?
彼は完全に……とは言えないのかもしれないが、他者の勝手な期待も他者の評価を身勝手に自分の価値に使用することも、ないのだろう。尤も自身の価値については何も考えていない可能性が高いのは以前から変わらずだが。