Chapter02-03

記録者: Visitor (ENo. 31)
Version: 1 | 確定日時: 2025-12-10 04:00:00

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奇抜な色の羽織をひらりひら。
あなたの言葉を頷きながら聴いて、なるほど!なんて相槌を入れた。
少年にとってあなたの言葉は新鮮な音列なのだろう。
ありがとう!なんて言葉は程々に。また次のトイカケがあなたに振られた。

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「ねえねえ、君に訊きたいんだ。
 僕ってさ──いつも思うんだ。“正しいこと”って何なんだろうって?」

少年は笛を軽く指先でくるくる回し、空気に音の波を描くようにして言う。

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「だってさ、僕が吹く笛が誰かを笑顔にしたとき、
 それは“正しいこと”な感じがするでしょ?
 でも、もし誰かが嫌な気持ちになったら……それは“間違い”になるのかな?」


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「ね、君は──“正しい”ってなんだと思う?


──あなたは、何をもって“正しい”と判断しますか?

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「僕はさ、間違いなんてないと思うんだ。
 高い音も低い音も、速いテンポも遅いテンポも、全部必要で、
 楽しさも悲しさもぜーんぶ、大事なものなんだ!
 だから全部正しいって言えるんじゃないかなって」

見えない舞台の上で踊るように広げた両手。
世界のあらゆる感情を抱きしめるかのように、無邪気で貪欲だ。

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「たとえ誰かが“間違い”って言っても、
 そのせいで誰かが笑ったり泣いたり、変わるなら、
 それは正しいことになるんだ!」

少しだけ、笛の端がきらりと光った気がした。
正しさは、正解ではなく──変化そのものなのだと、少年は信じている。

少年は笛を胸に抱き、満足げに微笑んだ。

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「僕は“自分が正しい”と信じてる。だから誰かに間違ってると言われても気にならない!

 君はどう?周りの音は気にしちゃうタイプかな?
 それとも、君も自分の旋律を持っているのかな?
 ──君にとって“正しい”て何?」

Answer
正しさ……これと言うのも人間の主観や価値観で変わるものなのでは?それは対となる間違いも然り、だ。
質問者は間違いというものはない、と回答した。
少年の挙げたもの単体として見れば確かに間違いは無いのだろう。しかしそれは正しさや間違いと言うもので、簡単に決定できるものでは無いのではないか?子供とはいえ国によっては音楽のジャンル、最悪音楽を奏でるという行為だけで犯罪者扱いする国もある。これにはや文化や宗教的なもの等の関わりが多くあるのかもしれないが、何も知らず犯罪者として扱われた本人達にとっては理不尽極まりないもの、と言っても良いのではないか?
尤も、間違いが存在しないと言うのであれば今の人間は存在していないのではないか?進化を遂げる事が無かったのではないのか?
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「正しさとは人間の数存在しているものではないかと思います。それは間違いも同じくです。
貴方がそれをもって正しいと思っていらっしゃるものならば、正しいのでは無いのでしょうか?ですがそれは他者が同意するとは限らず、無理に同意を求めてはいけないものです。自らの正しさを押し付ける行為と言うものは、時に支配や洗脳を生み出すとも言えるのですから」

正しい事、と言うのは自らの心に留めておくものなのかもしれない。そうであれば問題になる事も少ないのだろう。
しかし正しさを他人に強要する、無理に同意を求めると言うのは間違いなのは明白。その理由として他者に強要した時点で、その人間の持つ正しさは反転してしまっているようにも感じられるからである。
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「それに、人間は間違いや失敗からも学ぶものだと思っております。そうでなければ努力という言葉自体の存在が無くなりますし、言葉の誤用が通用へと変わる事もある。
ですが本来の意味が失われた訳ではありませんし、間違いだったものが元から正しいものであった訳でもありません。間違いが本当に存在しないのであれば、こういった事も起こらなかったのではないかと思います」

誤用が通用へと変わる例を見るに間違いだったとしても正しいものとして変わる事はある。しかしそれは始めから正しかったのでは無く、間違いだったものがまかり通る様になり、正解として扱われるようになっただけである。結局の所、元はと言えば間違いだったと言う事実は変わらないのである。
間違いがなければ正しさというものも存在しない……そう言えるのではないだろうか?
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「もし本当に間違いが無い……というのであれば、それは例え2+2が5だと問われたとしても何の疑問も感じずにyesと答える、という事で宜しいでしょうか?ならばその世界とそこに生きる人間と言うのは、とてつもなく恐ろしいものなのではないのでしょうか?」

本当に間違いが無いのだとしたら、疑問と言うものを持つ人間もいなくなると考えているのだろう。
自らの教えを説く人間が他人にもそれを強要し独裁者となるのを、この星の歴史と言うものは見続けていたのかもしれない。それはこの先これからも……なのかもしれない。