【ラギの遺物】
天魔大戦で、邪神ラギの遺した呪われし物品。
特定の品という訳ではなく、
様々な形状、状態になって、
世界各地に散らばっている。
この遺物に触れ、遺物と共に過ごすと、
少しずつ精神が狂っていくようだ。
されどこの遺物は代わりのように、
所持者に強い力を与える物でもある。
これを破壊出来るのは、
強い光の力を持つ存在だけ。
生半な力では狂気に呑まれる。

「天魔大戦で英雄アリシアは
邪神ラギに勝ちこそしたけれど…………
ラギはとんでもない傷痕を遺してったのさ」

「僕の光女神の力なら破壊出来るけどさ…………
見つけ次第、破壊しているけどさ…………。
全ての場所を把握なんてしていないし」

「ラギの怨嗟、ここに極まれり、ってね。
そこまでして世界を呪いたかったんだろうな」

「…………気持ちは分からないでもないが」
◇
【闇神ヴァイルハイネン】
世界“アンダルシア”で、
『人間好きな闇神さま』として知られる神。
初期に冥王によって生み出された、
最古の神の一角でもあり格が高い。
気に入った人間に特別な力を与え、
その一生に寄り添うという特性を持つ。
また、任意で世界渡りをする力もある為、
『異界の渡し守』という異名もある。
眷属は赤眼の鴉。
古王国時代には、この闇神を
国単位で信仰していたところも
あったらしい…………。
人の姿に紛れる時は黒髪赤眼の姿を取り、
『闇魔導士ハイン』を名乗ることが多いようだ。

「『赤眼の鴉は奇跡の証。
人間好きな闇神さまの、お通りだ…………』」
「そんな歌が、僕の世界にはあるよ」

「僕は神様連中のこと、
あまり好きじゃないけど!
アイツのことはまぁ……嫌いじゃないよ」

「…………アイツが居なかったら僕、
ずっと名無しのまんまだったかも知れないし、ね」
◇
【“運命の女神の加護のあらんことを”】
世界“アンダルシア”の祈りの文句。
別れの時や相手の幸いを願う時に
告げられることが多い。
この世界の運命神は2人いる。
双子の姉、天秤の秤ファーテと、
双子の弟、天秤の錘フォルトゥーン。
ファーテは安定した運命を、
フォルトゥーンはリスクもリターンも大きい運命を、
それぞれ司っている。
ファーテの信仰は幅広くあり、
フォルトゥーンの信仰は
ギャンブラー等に多いようだ。

「“運命の神”と言ったら、
一般的にはファーテを指すことが多いよ」

「フォルトゥーンは数年前に封じられたけど……
これは世間には秘しておくよ。
信仰って大事だもの」

「運命ってさ、時に非常に残酷だけど。
神に願って縋るから、
人は心の安寧を手に入れられるんだ」
◇
【黄昏の主】
世界“アンダルシア”の死の神。
万物が行き着く果ての果て。
神ですら逃れることの出来ない終焉。
この世界の“死”は、黄昏色をしているという。
姿も声も一切が不明。
彼に従う他の死神たちも、
主のことは黙して語らぬ。
運命によって死を約束されたのに
未だ死なない人間たちに対し、
下位の死神たちを派遣している。
この世界の者は、死が近付くことを
『黄昏の主の足音がする』と表現することがある。
実際、死を予期した者は、
そのような音を聞くのだとか。

「…………まぁ、僕とは無縁の神だよ。
僕に黄昏が訪れる時は、
この世界が終わる時だけだしね」

「僕にその足音は聞こえない。
絶対に、絶対に」

「ま、今はもう暮れてやるつもりもないけど!
ね、サンセール!」
君が隣に在る限り!
◇
【神憑き】
“アンダルシア”の世界法則のひとつ。
『人の域を超えた力を持ったまま
10歳を迎えた人間は、
20歳になる前に必ず、
何らかの原因で死亡する』というもの。
10歳以前に力が消えた者はこれに該当しない。
これに該当する者は
圧倒的な力と英雄性が約束されるが、
短命も確定する。
魔導王国建国の英雄グランは、
この“神憑き”だったらしい。
神に憑かれた人間は、英雄となる。
しかし英雄の全てが神憑きとは限らない。
神に憑かれずとも華々しい活躍をする人間は、
世界各地に点在している。
そして彼らは寿命の制限なんてない。

「……なら、儚い命の“神憑き”は、
何なんだよって話…………」

「英雄なんかにはなりたくないと
幾ら当人が思っても…………
“神憑き”になれば
運命はもう確定しているのさ」

「──こんなのは祝福なんかじゃない。
呪いだよ」