スパークリング:ハイ | 記録詳細

スパークリング:ハイ

記録者: 酒場の娘 (ENo. 2)
公開日: 2025-10-15


──ええ、そう、ようせいです。
要請ではありませんし、陽性でもありません。
妖精です。
遥か昔には、人々を見守り。
世界の循環に努めていた、なんて御伽話があることを私もさすがに知っています。
古き良き物語です。絵本か何かで読みました。
ですから時折、昔は人に混じったりなどして、もしくはちょっかいをだしたりなんかして。
妖精は、人々を優しく温かく見守っていたようでした。

妖精といってもいくつか種類がいるようですが、なんといっても植物の妖精が1番テンプレート的妖精でしょう。
その妖精は森を羽ばたくようにして。
木々の間をすり抜け、風のように飛んでいく。
そうして巡り、人々の隙間も通り抜ける。

他の聞く妖精たちより、最も身近なのは植物たちだと言います。
だったそうです、という話です。
妖精たちは時が立つに連れてみられる数が減り。
現在は見られない、に近しい存在になったのだとか。
フェアリーテイル。妖精の尻尾のありかはわからないままです。
もう見えないというわけでしょう。頭から先まで。
その理由をかつては魔術師の島で研究していたようですが…
その島も、災害によって吹き飛んでしまっておじゃんです。
ちゃんちゃん、というわけでした。
フェアリーテイル、御伽話は終了しましょう。

──ところ代わりましてこちら、酒場です。
相変わらず客が来ません。
伽藍とした中に冷たい空気が通り過ぎるようでした。無念を感じます。
あれから。
おじさまがきてから、ほそ、ぼそと客はこれど。
まあ、本当に数の少ないこと少ないこと。
両手で事足りる人数でした。
死んだ目で、酒を飲み、どこかに消えていく。
酒というのは気分を高揚させるそうですが、ことごとく死んだ目をしています。
もしかしてここの水質って悪かったりします?
一応換気は行っているのですが。
澄んだ空気です。
何十年ものの酒の入った瓶には負けないのです。

「………」

─ところ私は。

妖精というもの、いないと思っていたのですがね。

「頼もう!!!」

どか!って。


外から勢いよく。妖精が飛んでくるまでは。