【或るカフェでの記録】 | 記録詳細
【或るカフェでの記録】
扉を開けたら、不思議なカフェに迷い込んだ。
そこには様々な世界の様々な人々がいて、
興味深い話を色々と聞けた。
カフェのメニューも美味しかった。
ロイヤルミルクティーとガトーショコラ。
すっかり僕のお気に入りになったんだ。
カフェにはよく通うようになった。
そんな毎日の中で、縁が結ばれた。

「…………ピエロ」
貴方の“魔法”を、素敵だと思った。
それを僕も使えるようになりたいなって、
貴方に師事したのだ。
鏡を見ながら練習重ねて、
ねぇ、ちょっとは出来るようになったよ。
貴方はいつも、周りを笑顔にしてくれた。

「…………ラヴェ」
大きくて心優しい竜さん。
寒くて震えてる時も、そっと抱きしめてくれたよね。
貴方の前では、幼子になれた。
幼い頃に満たされなかったものが、
満ちていく心地がした。
その優しさを、灯る気持ちを、忘れない。

「────ハグ!」
ちょっとツンツンした態度の魔法使いさん。
君の風の魔法は、カフェを賑やかにしてくれた。
色々と話して、秘密も明かして、友達になって。
ハグしてくれた。温かかった。
君のくれた温もりも、君との短い思い出も、
胸に抱いてこれからも歩いていくんだ。
いつか、一緒に月光花の群生地を見よう。
約束を記録に書いて、眺められるようにしておくんだ。
他にも色々な人たちがいた。
仕事をサボりに来てたハドリー、
優雅で飄々とした雰囲気のラナンキュラス、
怖い顔だけど優しい大河、
博識なラヴィルネ、
ミステリアスに見えて面白いクロロス、
苦労人? な死神のキラ、
程良くテキトーな福太郎…………。
書き切れないな。
みんなみんな、忘れない。
サンセールも来ていて、お喋りしたな。
いつしかカフェには行けなくなっていた。
いつもの扉を開けても、そこは。
だけど僕は、再会を信じたい。
“いつか”の約束を交わした友人もいる。
このカフェが閉じても、いつか、いつか。

「運命の女神さまの、言う通り!」
縁があれば、きっと僕らは。
そう信じて、このカフェの記録を、
終わりとしよう。