【或るカフェでの記録】 | 記録詳細

【或るカフェでの記録】

記録者: アルンケティル (ENo. 16)
公開日: 2025-10-29

【或るカフェでの記録】

 扉を開けたら、不思議なカフェに迷い込んだ。
 そこには様々な世界の様々な人々がいて、
 興味深い話を色々と聞けた。

 カフェのメニューも美味しかった。
 ロイヤルミルクティーとガトーショコラ。
 すっかり僕のお気に入りになったんだ。

 カフェにはよく通うようになった。
 そんな毎日の中で、縁が結ばれた。


「…………ピエロ」

 貴方の“魔法”を、素敵だと思った。
 それを僕も使えるようになりたいなって、
 貴方に師事したのだ。
 鏡を見ながら練習重ねて、
 ねぇ、ちょっとは出来るようになったよ。
 貴方はいつも、周りを笑顔にしてくれた。


「…………ラヴェ」

 大きくて心優しい竜さん。
 寒くて震えてる時も、そっと抱きしめてくれたよね。
 貴方の前では、幼子になれた。
 幼い頃に満たされなかったものが、
 満ちていく心地がした。
 その優しさを、灯る気持ちを、忘れない。


「────ハグ!」

 ちょっとツンツンした態度の魔法使いさん。
 君の風の魔法は、カフェを賑やかにしてくれた。
 色々と話して、秘密も明かして、友達になって。
 ハグしてくれた。温かかった。
 君のくれた温もりも、君との短い思い出も、
 胸に抱いてこれからも歩いていくんだ。
 いつか、一緒に月光花の群生地を見よう。
 約束を記録に書いて、眺められるようにしておくんだ。


 他にも色々な人たちがいた。
 仕事をサボりに来てたハドリー、
 優雅で飄々とした雰囲気のラナンキュラス、
 怖い顔だけど優しい大河、
 博識なラヴィルネ、
 ミステリアスに見えて面白いクロロス、
 苦労人? な死神のキラ、
 程良くテキトーな福太郎…………。

 書き切れないな。
 みんなみんな、忘れない。
 サンセールも来ていて、お喋りしたな。

 いつしかカフェには行けなくなっていた。
 いつもの扉を開けても、そこは。
 だけど僕は、再会を信じたい。
 “いつか”の約束を交わした友人もいる。
 このカフェが閉じても、いつか、いつか。


「運命の女神さまの、言う通り!」

 縁があれば、きっと僕らは。

 そう信じて、このカフェの記録を、
 終わりとしよう。