
「急に話題、変えるね…………。
お前って気紛れ風みたいだよ」
そんな自由奔放さと無邪気さに、
ある人物を思い出しながら。

「お前は迷うことがないんだね。
だから“子供”なのか?
はは…………眩しいよ」

「…………で。
自分のことを
どれぐらい信用しているかって?
それは………………」
青玉石、惑うように揺れた。
王たる者が、この問いに迷ってはならぬのに。

「…………私は王だ。
だからこそ、己のやることに
疑問を抱いて迷ってはならない」

「だけれど私の為す改革で、
酷く傷付いた人間がいるのも見てしまった」
ずきりと、右の鎖骨が痛み出す。
向けられた怨嗟の声を、
その無惨な死に様を、思い出す。

「私は……私の歩んできた道に、
革命王としての覇道に、一切の後悔はない。
託されて歩み始めた道だけれど、
歩み続けると決めたのは私自身だ」
それでも、しかし、だが。

「……私がやろうとしているのは、
魔導王国では前代未聞の大改革だ。
魔導王国の歪みに気付いた王は
過去にいたかも知れないが、
どの王も皆、見て見ぬ振りをしていたんだ」

「それを変えようとしているんだ。
誰もやったことのないことを
やろうとしているんだ。
当然、迷うし、惑うさ。仕方ないだろう?」
迷いながら惑いながら、
それでもその先にある光を信じて、
進んでいくしかなかったんだ。
それらの思考を経て、導き出された結論は。

「…………私は、
私自身のことを、信用し切れていない」

「だが、一切迷わぬ王も、
それはそれで危ういと思っている」

「だから。
道を見失いそうになった時は、周りに訊く。
そうやって対話を重ねて、
行くべき道を見極める」
誤ったら諌めてくれる従者も、
迷ったら支えてくれる王妃も、隣にいるから。

「……独り善がり過ぎる王は、
独裁者と同じこと」

「……これが私の“答え”だ。
導き手の君、笛の音の君。
これで満足してくれたか?」