
「あやや。…ぼくは貴方の言葉を理解でき、視認的には近いように思えたんですけどね。そういうこともあるかー」
犬耳がちょっと下がる。そして相手の、続けるという言葉を聞けば一つ頷いて質問を聞くでしょう。

「所属世界ですか……、これもちょっとぼくは特殊なんですよね。今のところ、ぼく…及び移動図書館群【植物園】は特定の世界に住み着いておらず様々な世界を転々としているからです。貴方が一つの世界しか知らないのとは逆で、ぼくは様々な世界を知っている……」

「漂流者、上位存在、管理者……というのは強く言いすぎですね。その為、普通…に対しての返答は限りなく難しいです。図書館司書として働く前の世界でもよければそちらをお答えしてもいいのですが。……すでにその世界は無くなっていますから」
うむむ、と頬の傷をポリポリとかく動作をしてから、

「かといって、御答えがブランクになるのはお互い気にしそうですよね。じゃあ、一応ぼくの一日でも答えてきますか!ぼくは一応、一般的な司書ですしね」
ぽふ、と煙突から煙を出して身振り手振りで答えるだろう。

「まず、どこかの世界に到着をした前提で……朝は朝ご飯を食べて、図書館からの報告を読みます。他の司書たちも同じように世界を転々としている為、貸出者の統計とか、こういう書物を手に入れたとか、どこどこが危険だったとか。そう言った情報を共有するようにします。そうしたら、移動図書館兼喫茶のキッチンカーを開けて…」

「昨日の利用者は20人くらいでした、チラホラって感じですね。昨日の世界は如何せん、本を借りて読むという行為が比較的浸透していない世界でしたから。どっちかというとコーヒーを求めてこられた方が多かったかな。本の説明や、希望される書物の案内などもします」

「それを日が落ちるまでのーんびりやって、夜に日報を書いて提出……が基本ですね。そこにたまに、世界特有の書物や情報媒体の調査・取得。他所属の司書の業務の協力、山羊退治などが入ったり……。…たぶんそちらの普通、ではないですよね」