Chapter03-03

記録者: ダミアン・ガルーナ (ENo. 145)
Version: 1 | 確定日時: 2025-12-03 04:00:00

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「……そっか」

一言だけをぽつりと落とし、その後の言葉を探すように目が泳ぐ。
何かを言えば軽くなってしまうし、黙れば重くなる。
その中間を彷徨うような視線の動きだった。

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「いや、なんかあんま気の利いた事言えないや。
 テキトーな相槌を簡単に言うのは失礼っていうかさ……」

女は椅子にもたれかかり、髪を指で弄りながらぼやくように言葉を零す。
……指先で“間”を誤魔化しているようだった。

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「……じゃあ、さ、クロ。
 クロって誰かに期待されたりすることって、ある?」

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……誰かに期待されてるって思うの、疲れない?


──あなたは、“期待”に対してどのような感情を抱きますか?


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「ウチさ、親とか先生とか、あと周りの人とか……
 期待されるとさ、なんかこう……自分のペースで動けなくなる気がして」

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「でもさ、期待されるのって悪いことじゃないのも分かるんだよね。
 褒められたり、認められるのって、ちょっと嬉しいし……」

言葉はゆっくりと紡がれていくなか、指先だけが落ち着きなく動く。
笑っているような、笑っていないような声だった。

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「けど、期待ってさ、“応えられなかった時の怖さ”までセット販売なんだよね。
 おまけに“努力不足に見られちゃうリスク”付き」

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「嬉しいのに疲れる。
 ありがたいのになんか苦い。
 クロはそういうの、ない?」

Answer
シロの誠実な態度にニコニコと嬉しそうに微笑んでいるだろう。
どうやらこちらの姿ははっきりとそちらに届いていないとしても。
次の問いかけに一瞬目を見張り、少し目を閉じて笑みを浮かべながら答える。

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「期待されると嬉しいけどちょっと疲れるの、あるよね~。めっちゃ分かる」

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「俺、子供の頃はあんまり期待されない方だったんだよね。お前は出来損ないだから、って尻叩かれる方だった。でもそれって失敗してもなんか、そりゃそうだって感じで気楽だよね」

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「学校に入ってから友達とか先生から褒めてもらえるようになってからは、ホント怖かった。今は褒めてもらえたけど、次失敗したら、家に居た頃みたいにがっかりされたらめっちゃ辛いなって」

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「学校の友達とか先生とか、本当にみんないい人たちですごい人たちだったから、そういう人たちにがっかりされたら本当に凹むよね。優しい人も多かったから、失敗しても全然許してくれるんだけど、それもなんかいたたまれない、ってやつ?」

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「でも、でもさ、全然期待してないよ、気楽にやって、っていうのもさ、一回期待してもらった嬉しさ知っちゃった今だとちょっと寂しんだよね。めんどくさいね」


そう言って困ったように笑っているだろう。