Chapter02-05

記録者: 白い少年 (ENo. 166)
Version: 1 | 確定日時: 2025-11-30 04:00:00

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「ねえ──じゃあさ」

ぱちん。
少年が指を鳴らす。
軽快なくせに、不思議と胸の奥をざらつかせる音がした。

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「“正しい”があるなら……“悪い”って、なんだと思う?

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「君の思う“悪さ”ってさ。どういう形をしてる?
 ……悪い人って、どうして悪い事をすると思う?」

その声は明るいのに、奥底に沈むものは冷たく澄んでいる。
冗談みたいな口ぶりなのに──その実、返答を逃す隙を与えないほど見つめていた。

──あなたは、何をもって“悪い”と判断しますか?


sample
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「僕が新しい曲を吹こうとするとね、
 止めようとする人がいるんだ。すっごく真面目な顔してさ」

笛に指を当て、吹く真似をして。
けれども笛を通して音を出す事はしないで、
また手持ち無沙汰のように笛を手でいじる。

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「親も、偉そうな大人も、見回りの憲兵も、
 神様の言うことばっかり唱える聖職者もね。

 彼らはそれを“正しいこと”だって僕に言うんだよ。
 でもさ、僕の新しい音を止めるんだよ? それってさ──」

そうして。歌う様な声で嗤った。

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〝悪い〟ってことじゃない?

      ──だって僕の方が正しいのだから!

……少年はあなたを見ている。
Answer
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〝ゼロ〟
『……かつて、ぼくの世界では、ぼくの考え方に異議を唱えるひとたちが居た

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〝ゼロ〟
『幸せなひとと、不幸なひとが居て、幸せなひとは幸せなまんまで、不幸なひとはどこまでも救われないんだってさ』

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〝ゼロ〟
『だから
わたくしがこの世界を不幸かわいそう渾沌ひとたちだけが生きる世界にいたしますわって宣戦布告してきた魔法使いが居て、戦いの果てに一回創造神かみさまとして死んじゃったんだよね

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〝ゼロ〟
『……だけどその時の、そしてその後の彼女の考え方は、ぼくから見れば悪い事だったな。結局のところは力こそ全てって感じだった』

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〝ゼロ〟
『自分さえ良ければいい、自分さえ幸せならいい、自分さえ生きられるなら……――他の全てがどうでもよくて、その結果不幸になったり死ぬ事になってしまっても構わない。それが彼女――
ラナンキュラスの考え方だったんだ』

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〝ゼロ〟
『それが、ぼく自身から見て悪いと判断した事かな』