
ふむ……。
あくまでもこの問答という状況が大切であるというご様子。此方の答えがいかほどのものか、特に気にする様子もなく。
――まるで自動案内、言ってしまえば
当たり障りのない反応。察するに、きっと私のようにここへ招かれた方も多いのではないでしょうか?
そうであれば、あのような対応も納得できます。この白きキャンバスに最初に塗る色は"描き手"によっても異なります。故に、あくまで此方の言葉を不明瞭と定義しておき、されども何事もなく問答を進める。
ふふ、名探偵みたいでしょう?残念ながら司法のお勉強はしていないのですよ。
さ、続けましょうか。

普通の定義、ですか。なかなかに難しいことをおっしゃられる。
ですが、私の解る範囲でお答えいたしましょう。

我らが世界の文明を形成する中心種族は、我々、人間と呼ばれる種族です。
時間の単位は……貴方ときっと同じですね。最小単位を秒とした、60秒を1分、60分を1時間、24時間を1日、365日を1年、100年を1世紀と定義されています。

そして貴方と同様、7日を1週間とし、月火水木金土日という曜日という部類分けをしています。
居住地は"地球"と我々が呼んでいる球体。太陽という恒星を中心とした惑星の集まり『太陽系』を構成する惑星のうちのひとつ。さらに『月』という衛星も地球に付随しておりめす。

あとはそうですね……全ての事象は『物理法則』と呼ばれる、物理的な法則に則って発生します。我々の呼吸、心臓の鼓動、声の反響や視界の認知まで、これらは全て解明され、定義されているものです。
――殆どは、ですけどね
最後の一言だけ、意味ありげに目を細めながら紡いだ。