Chapter01-05

記録者: 真ヶ門アキト (ENo. 182)
Version: 1 | 確定日時: 2025-11-30 04:00:00

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  ──カシャ


シャッターの音の後、あなたを向いていたレンズがふと向きを変える。
何か未知のことを認識した様子で、その後にまたあなたにひとみが向いた。

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「観察対象、最終質問を提示します」


この対話の終端が近いようだ。
不思議な白い部屋での対話は、何の説明もなく始まり、そして終わるらしい。

奇妙な観察者は感慨もなく告げ、一拍。

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──あなたは、何をもって“自らの存在に価値がある”と判断しますか?


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「それは役割でも、使命でも、功績でも構いません。
 また、価値は不要であるとする見解も有益な観測結果となります。

 あなた自身が、どの基準で己を“肯定”し、
 何をもって“無価値”とせずにいられるのか。

 その価値に他者を如何にして組み込んでいるのか、
 その内的構造を、開示してください」


──あなたは自らに〝どのような価値〟があると認識していますか?

 
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「当機は、あなたの答えを推論する事はできても──
 代弁する事はできません
 故に此度は、 あなた自身の言葉で語られることを要求します」
Answer
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ま~~た難しい話!!

そろそろ頭が疲れて来た。
なんというか、これって……多分、俺の夢の中なんだろうな。
多分、自分を見つめ直すための夢だ。その割にはちょっと……深すぎることを聞かれてる気がしないでもないけど。

夢で己の価値を問われることに、なんの意味があるのだろう。
ああ、でも意味を考える事は大切だぞって、親父が言ってたな。

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「そうだな……俺っておもちゃ屋さんだけど、アヒルバトラーもしてんだ。
えっと、アヒルバトラーってのは、アヒルバトル専門のアスリートって感じの仕事な。
俺にとってのアヒルバトルって、競技っていうよりはエンターテイメントっつーか……
子供のころ、それに元気づけられたからさ。同じように人を元気づけたいなって思うんだ」

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「だから、俺は人を楽しませたい。楽しいことには価値があるし、人を楽しませている俺には価値がある。
少なくとも、そう思ってる。俺は観客も、対戦相手も、全員が夢中になれるようなバトルがしたいんだ。」

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「だって、必殺技したりとか、デケェ技避けたりしてさ、会場をワッ!!って湧かせた瞬間って最高じゃん?
今のは俺たちがこの手で作り上げたんだぞ<、って思うとさ……すげー嬉しくなるんだ」

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「……だからと言って、人を楽しませてない時だってある。それは無価値じゃねーと思うよ。
だって、どんなにイカしたエンターテイナーでも休まなきゃ潰れちまうだろ?
"常に最高である為には、自分のことを労わるのも大事"……ってやつ?ま、アニメの受け売りだけどさ。」

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「ま、それはあくまで俺の価値観!そーゆー感覚を人に押し付けたりするつもりはねーよ。
勝つために戦ってる人もいるしさ。
あでも、大会にやべー改造アヒルチート持ってくるやつだけは正直苦手!」

アヒルバトラーも千差万別なわけで、賞金の為にやってるとか、強くなる為にやってるとか……そういう人も結構いる。
そう言う人にとって、魅せるタイプのバトルは必要ない。
だから俺は、相手が同じフィールド立っている限りこの価値観を押し付ける気はない。

でもさ、対戦相手も、観客も、俺も、全員が楽しいって思えるバトルって、最高に"価値がある"って思うんだ。