Chapter02-05

記録者: メルエミリー・カヤナイティア (ENo. 79)
Version: 1 | 確定日時: 2025-11-30 04:00:00

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「ねえ──じゃあさ」

ぱちん。
少年が指を鳴らす。
軽快なくせに、不思議と胸の奥をざらつかせる音がした。

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「“正しい”があるなら……“悪い”って、なんだと思う?

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「君の思う“悪さ”ってさ。どういう形をしてる?
 ……悪い人って、どうして悪い事をすると思う?」

その声は明るいのに、奥底に沈むものは冷たく澄んでいる。
冗談みたいな口ぶりなのに──その実、返答を逃す隙を与えないほど見つめていた。

──あなたは、何をもって“悪い”と判断しますか?


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「僕が新しい曲を吹こうとするとね、
 止めようとする人がいるんだ。すっごく真面目な顔してさ」

笛に指を当て、吹く真似をして。
けれども笛を通して音を出す事はしないで、
また手持ち無沙汰のように笛を手でいじる。

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「親も、偉そうな大人も、見回りの憲兵も、
 神様の言うことばっかり唱える聖職者もね。

 彼らはそれを“正しいこと”だって僕に言うんだよ。
 でもさ、僕の新しい音を止めるんだよ? それってさ──」

そうして。歌う様な声で嗤った。

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〝悪い〟ってことじゃない?

      ──だって僕の方が正しいのだから!

……少年はあなたを見ている。
Answer
──あなたは、何をもって"悪い"と判断しますか?



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メルエミリー
「…………」

少年の正義観に、一種の危うさを感じる。
詳しい事情が語られない以上、下手な介入は出来ないが。




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メルエミリー
「……〔先程も、回答した通り〕
 〔私にとって、"正しさ"とは
 其の時の状況、複数視点での分析に依って成立するもの〕

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メルエミリー
〔そして、其れは〕……
 "正しさ"と表裏一体である"悪さ"にも言える事です

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メルエミリー
「……〔例え、貴方の行いが真に正しいとしても〕
 〔其れに賛同する者が居らず、否定する者ばかりならば〕
 〔其の場に於いての"悪"は、間違いなく貴方となるのです〕

世界は、いつだって。
"多数決"という名の理不尽で、殴りつけてくるのだから。
亜人少女は――其れを嫌と言う程に、身を以て・・・・知っているのだ。

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メルエミリー
「……〔恐らく〕
 〔貴方に必要なのは、賛同者や同志の類です〕

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メルエミリー
〔どんな界隈であれ、情勢であれ〕
 数が力と成る・・・・・・のは、基本的に共通している筈です〕

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メルエミリー
「……〔私は、此の躰故に、其れには成れませんが〕……
 〔貴方が、貴方自身の"正しさ"を証明したいのならば〕
 〔仲間を探し、見つけ、語らい、苦楽を共にすると良い〕



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メルエミリー
「……〔私から言えるのは、以上です〕