Chapter01-05

記録者: 田中 亜蓮 (ENo. 181)
Version: 1 | 確定日時: 2025-11-30 04:00:00

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  ──カシャ


シャッターの音の後、あなたを向いていたレンズがふと向きを変える。
何か未知のことを認識した様子で、その後にまたあなたにひとみが向いた。

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「観察対象、最終質問を提示します」


この対話の終端が近いようだ。
不思議な白い部屋での対話は、何の説明もなく始まり、そして終わるらしい。

奇妙な観察者は感慨もなく告げ、一拍。

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──あなたは、何をもって“自らの存在に価値がある”と判断しますか?


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「それは役割でも、使命でも、功績でも構いません。
 また、価値は不要であるとする見解も有益な観測結果となります。

 あなた自身が、どの基準で己を“肯定”し、
 何をもって“無価値”とせずにいられるのか。

 その価値に他者を如何にして組み込んでいるのか、
 その内的構造を、開示してください」


──あなたは自らに〝どのような価値〟があると認識していますか?

 
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「当機は、あなたの答えを推論する事はできても──
 代弁する事はできません
 故に此度は、 あなた自身の言葉で語られることを要求します」
Answer
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アレン
「……、っ」


価値。

価値を示せだなんて。

――そんなの。

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アレン
「俺、は…、ッ」


やめてくれ。

己は。


既に。



既に。



価値など。


無いに、等しい。




――……。


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アレン
「俺の人生なんて、無価値だろ」


笑う。
笑う。

何処までも。

己の人生は、価値の証明など、出来ない。
そこにあるのは、ただの生きる事をなぞらえただけ、
普通の人生をそれっぽく見せただけの日々。
淡々と送る日常。
消費される毎日。
何処までも、何処までも。
つまらない日常。

――何者にもなれない人の、舞台にも立てない背景モブ。


そんな自分を、好きになれるかは。
――まだ、分からない。

まだ、好きになれてない。











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アレン
「……わりい、言えねぇわ」



歯切れの悪い言い方をした後。
言葉が返ってくる時を、待つ。