対面のレンズが横を向く。何かを気取ったのだろうか。
その後の言葉で、終わりを示唆し始めた。
アイツは何に気が付いたのか、自分には知る由もないものだった。
そうして最終質問と称した問いを投げかけられる。
どうも今回は、何を語るでもないらしい。
自分の価値、価値?俺の今の価値……?
何も出来なかった自分に価値なんてあるのだろうか。
価値を語る資格すらないんじゃないのか。
人並以上に戦える事?あの日を生き延びられた悪運の強さ?
考えに考えた。数分、数十分、考え続けた。
ようやく搾り出せそうな言葉を見つけ、黙するレンズへと顔を向ける。

「……今の俺に価値があるとは思ってない。思ってない、けど。
俺を後押ししてくれた、そして関わってくれた知り合いがいる。」

「俺が付けた名前を大切にしてくれる奴がいた。
子供の癖に、また会いたいと、おもちゃの剣をくれた奴がいた。
口は悪かったけど、仲間思いの奴がいた。」
じっとレンズを見つめたまま、言葉を続ける。

「この外套を、わざわざ匿名で送り付けてきたお嬢様が居た。
お菓子も贈って来たっけ。正直、バレバレだったけどね。」

「頼りな…少しだけ頼りになる黒いお兄さんと頼りになる白いお兄さん。
弱々しい王子様とその従者、短剣使いの先輩に……。
とんでもない量の料理を積むやつら……あれは壮観だったな。」
懐かしみ、少し楽し気に語ってみせる。その口ぶりは、今までよりも優しそうに見えた。
白外套を擦り、その内側、隠れた右肩辺りを大切そうに撫でる。
話の腰を折りそうになった事に気づき、改めて本質を答える。

「……っと、危ない危ない。つい懐かしんじゃったな。
長くなったけど、俺の答えはこれってことで。」

「クソみたいな自分の世界には俺の価値なんてないと思う。でも――
俺なんかを信頼してくれた、そんな奴らがいる世界があるんだ。
……そんな所なら、俺の価値も少しは見いだせる……と思う。」
断定できなかったのは今の自分の弱さなのかもしれない。
もしかしたら、あの事を聞いたらみんな幻滅しちゃうかもな。
もう二度と会えないかもしれない奴らを望むのも、欲張りすぎだったか。