
(……何だ、今回は撮らないんだ。)
毎回の様に撮られるものだと思ったが、そうでもないらしい。
それならそれで構わない。今の顔は、あまり見せたいものでもなかったから。

「譲れないものね。そうだな、前なら、こう答えていただろうね。
何者にも縛られない自由って。」

「でもさ、今の俺には、そんなものない。
アンタが言う様に、状況が変わっちゃったんでね。
俺だけが、一人自由になってしまったから、もう何もないんだよ。」

(そう……俺だけが自由を求めて、逃げ切ってしまったんだ。
俺が言い出した事なのに、誰一人助けられず、逃げる事に精一杯で
俺だけが自由になって、どうすりゃいいのさ……。)
どうしても、忘れられない記憶が溢れかえる。自責の念に駆られてしまう。
今すぐに話題を変えたい。こんな顔もしたくないし、見せたくない。
この白外套は、そんな使い方をする物じゃないというのに。

「アンタのそれは、そういう目的で作られたってだけでしょ。
譲れないんじゃない。そう『命令』されて動いてるだけだ。」

「……そういや、どっかの誰かさんも、前はそうだったな。
逆らえず、言う事を聞いて、その日を生きるのに精一杯だった。」

「アンタも気を付けなよ。今は良いかもしれないけど
観察するものが無くなったら、不要って言われちゃうかもね。」
通じているかどうかも定かでない皮肉がつい零れて、虚しさがこみ上げる。
自分はそんなに、説教出来るほどの立場にあるはずもないというのに。