
「…………。」
うるさいな、そんな事くらいわかってるよ。
それを言葉に出す前に白い部屋は解けていく。
……これは、夢だったのだろうか?
あの質問は全て自分が自分へ向けたものだったのだろうか?
そうだとしたらあまりにも退屈な自己分析をしてしまった。
馬鹿馬鹿しい時間の無駄だ、と小さく舌打ちを零す。
下手に自己分析などを行いたくはなかったのに。
ずっと前から道化を演じるのには疲れてきていた。
それでも、
そうしている事が楽だったから変わらなかった。
弟から自分に向けて光を向けてもらったあの日から、
いいやきっとあの日こそ、道化の仮面を叩き割るべきだったのに。
明るく楽しげな劉浩然ではない、本当の自分が
周りに愛されないんじゃないかと恐れて結局仮面を被ったままだった。

「……いや、違うな、そうじゃない
俺はもう……」
どの自分が本当なのか、よく分からなくなってしまっていた。
だから、余計にこの仮面を外すことを恐れている。
これがなくなった時の自分が本当の自分かどうかが分からないからだ。
仮面を叩き割ってしまった後に、後悔することを恐れている。
もう二度とあの自分の姿を取り戻せなくなると困るからだ。
もしも、何もかも全部曝け出してみた時に
弟に拒否されたらと思うと恐ろしくて手が動かなくなる。
そして、そんな風にひどく仮面を失うことを恐れているというのに
自分ですら見つけられない本当の自分が愛されることを願っている。

「……はは、馬鹿らし」
こんな気色悪い感情が腹の中で渦巻いてるやつなんかが、
誰かに愛されるはずもないというのに。
だからもう早々に自分の幸福は諦めて、
あとは"
鏡に映った自分"を幸せにしようと決めた。
それでいい。
俺の人生はそれでいいんだ。
こうなってしまったんだから、それに相応しい人生を送ろう。
大丈夫だ、きっと、あいつは幸せになってくれるから。

「あーあ、ほんと俺ってやつはさ〜……」

「いつまで経ってもバカなガキなままだよなあ……」