Chapter01-Fin

記録者: 白埜シンフゥ (ENo. 130)
Version: 1 | 確定日時: 2025-11-30 04:00:00

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「……回答を確認しました」


観察者は淡々と処理を続けているように見えるが、
どこかそれは“耳を傾けている”仕草にも似ていた。

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「当機の観測は、これにて終了します。
 記録は保存され、分析は後続機へ引き継がれます」


レンズがわずかに光を収束させ、あなたを見据える。
無機質なガラスに感情は映らない、
ただそれは淡々と観測を続ける機械でしかない。ずっと。

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「あなたが何者であるか──その定義は、あなた自身が決めるものです。
 当機はただ、それを観測したという事実のみを残します」


──そうして白い部屋がじんわりと、輪郭を失っていく。
まるで夢から醒めるように。


──そう。きっとこれは夢だった。


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「……観察対象。これにて接続を断ちます」



ガラス玉のような声が、虚空の中で響いていた。


ここトイカケはありません。回想や感想を自由に記入したりしなかったりしてください。
Answer
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「分析!? 回答を分析っちゅうたが!?」

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「待て待て、わしそれ見たい!」

ガタリと椅子から音を立てて立ち上がりかけ、
その拍子。

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「……げ」

場面転換。
暗幕の代わりに白ぼやけた視界が、意識を泡のように上へ上へと浚って行く。シラノは役者か観客か。いずれにせよ退場の時間のようだ。

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「またの機会があるかもわからんが。達者での」

伝わることを期待してというよりは、自分の中の区切りをつけるような挨拶をこぼす。
唐突に始まった問答は、これまた、唐突に終わるようだ。

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「まあ、腹減る前に戻れるんならよし、か」


ドクン、と。


心臓が疼き、シラノは思わず手を当てる。


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「……?」

本能的な飢えよりも卑近な、生命の危機。
まるで己の身体が血を吸うこと自体に警告しているような。
シラノ自身、あちらこちらとつまみ食いをするほど悪食では無いが……。

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(見られとる……いや。
 忘れとる、か?)

疼く心臓と、痺れの走った太腿。
覚えは無い。
今はまだ。
そして、夢を忘れることもあれば、夢が忘れさせることもあるのだろう。


夢の中にトイカケを残して、シラノの意識は浮上していく。