
「分析!? 回答を分析っちゅうたが!?」

「待て待て、わしそれ見たい!」
ガタリと椅子から音を立てて立ち上がりかけ、
その拍子。

「……げ」
場面転換。
暗幕の代わりに白ぼやけた視界が、意識を泡のように上へ上へと浚って行く。シラノは役者か観客か。いずれにせよ退場の時間のようだ。

「またの機会があるかもわからんが。達者での」
伝わることを期待してというよりは、自分の中の区切りをつけるような挨拶をこぼす。
唐突に始まった問答は、これまた、唐突に終わるようだ。

「まあ、腹減る前に戻れるんならよし、か」
ドクン、と。
心臓が疼き、シラノは思わず手を当てる。

「……?」
本能的な飢えよりも卑近な、生命の危機。
まるで己の身体が血を吸うこと自体に警告しているような。
シラノ自身、あちらこちらとつまみ食いをするほど悪食では無いが……。

(見られとる……いや。
忘れとる、か?)
疼く心臓と、痺れの走った太腿。
覚えは無い。
今はまだ。
そして、夢を忘れることもあれば、夢が忘れさせることもあるのだろう。
夢の中に
トイカケを残して、シラノの意識は浮上していく。