
「……ふむ」
譲れないもの。思考実験。
ただ繰り返されるトイカケ。
ようやく確信がついた、蝉はそれを踏まえて口を開く。

「すまない、今まで貴殿のことを誤解していたようだ」
少なくとも、自分で想像がつく範囲の事態には、
目の前の人物は該当しない。

「といっても俺も立場を優先する身だ、
話せないことが多いのは変わらず
申し訳ないんだが」
少しだけ、砕ける口調。

「ただ、俺の譲れないものであれば
たぶん大方は語れると思う。生き様、だ」

「信念を貫き、己が信じたもののため
この力を振るうこと。
その生き方は、譲ることができない」

「武芸者だからな、俺は。
死に場所は決まってる、そういうことだ」
だれか、もしくはなにかのために。
戦い抜いて死ぬとしても信念を貫くこと。
それが、この蝉の譲れないもの、「生き様」である。