
優希
「……」
全部は聞こえてないんじゃなかったのかよ、という気持ちに蓋をして。
おそらく、全ては聞こえていなくてもこいつはこいつの意思でこう言っているのだろう。
多分、答えてくれたこと全てに対して。
そうしているうちに、待っていた次の質問がこちらへと投げかけられた。

優希
「君が思うような答えを出せないのは残念だ。当然だが、私はそんなの…」
もちろん、答えは一つだ。彼がどう思うかはわからないが、他の大衆からは理解ができないかもしれない。
……むしろ、大衆には反発されるだろう。心のないやつだと。それでも、私はこの回答を貫く。

優希
「私は助けないよ。」
冷たい人間だと思われるかもしれない。世間知らずだと言われるかもしれない。
けれども私は、自分以上に優先しなければならない人間なんて、もう存在しないと思っている。
だって、いなくなってしまったのだから。
そう思えるほど信頼できる人が居れば別、なのだけれど、今はもう………誰も信頼できないんだもの。
もう、それなら誰の目も気にせず、選択くらいは自由にさせてくれたっていいんじゃないか?
…なんて、たくさん思うことはあったが、ここでは口を慎んで、当たり障りのないことを。

優希
「それがどれだけ大きい損害かわからないものは助けない。もちろん損害があるのなら…いかなる人物を助けたって、こちらは結果的にマイナス…ということだろう。…………まあ、もし損害の程度がわかるなら話は別だがね。これぐらいの損失なら受けてもいい、と思ったなら助けはするよ。けれど、基本は助けないさ。」

優希
「何せ、私にとって彼らは"どうでもいい"存在だからね。気に留める必要がない。」
まあ、これぐらいなら言ってもいいだろう判断した、この判断が正しかったか否かはわからない。
だって正直、他人なら苦しもうが死のうがこちらにとっては関係ないのだし、
その人に大切な人がいたとて、私には知るよしもないものだ。
………それに…損害がどうであれ助ける、という判断が、私の大切な人を1人、殺してしまったのだから。
もう助けようと思う相手もいなくなってしまった私には、あまりにも酷な質問に思えた。けれども、こいつは私の過去を知らないから、仕方がない、と、喉の奥が焼けるような気持ちも腹の底にしまい込んで。

優希
「……さて、今回の質問はそれだけか。くだらんな。」
とだけ放った、私の声は少し鼻声だった。