Chapter02-01

記録者: カーレ (ENo. 3)
Version: 1 | 確定日時: 2025-11-30 04:00:00

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あなたがふと気が付けば、真っ白な部屋に居た。
そこには椅子がひとつ置いてあるだけで、他に何もない。

あなたが以前来たあの部屋と、まったく同じに見える。
壁に触れても感触は無く、すり抜ける事も出来なければ
もうひとつの椅子を見る事も叶わない。

──あなたが椅子に座れば、部屋は拡張されたように感じる。
視界の向こうに椅子があり、そこに誰かが座っている。

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「あれ?」

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「あはっ、すごい。君っていつの間に居たの?
 ちっとも気付かなかった!だってさっきまで誰も居なかった、
 君の音はひとつも聴こえて居なかった!きっと何かが君を導いたんだね」


奇抜な色彩を纏った少年が、にこやかに楽しげにあなたを見ている。
足をぶらぶらと揺らしながら、まるで軽やかな旋律そのもののようだった。
胸元に下げた横笛が、少年の小さな動きに合わせて微かに揺れ、
そのたび、金属が擦れ合う透明な響きが空気を震わせる。

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「ね、僕さ、訊いてみたい事があるんだけど、いい?
 きっとこれは風の導き、新しい楽章の予感!
 今まで聞いたことのない音に出会えそうな気がするんだ!」


少年はあなたに体を傾け、目を輝かせる。
質問を投げかける瞬間でさえ、ひとつの“旋律”を紡ぐように。

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「──君はさ、大人になるってどういうことだと思う?


──あなたは“大人”とは何だと思いますか?

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「僕はね、毎日新しい音を探してる。
 繰り返しばっかりの退屈な道ばっかり歩いてたら、その曲は死んじゃうでしょう?」

空中に弧を描くように指先を動かす。
まるで目に見えない五線譜に、音を刻むみたいに。

その仕草に合わせて、笛が揺れて微かに音を鳴らしたような気がする。
それが空耳なのかどうか、判断できない。

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「僕から見たら大人って、死んだ曲をずっと流してる人たちだ。
 一体何が楽しくてそんなことをしてるのか、僕には全然分かんない!

 君はどう思う?大人ってもしかして僕が知らないだけでもっと楽しいものなのかな?」

Answer
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「おや」


ふ、と目を開けば、目の前には白さが目に焼きついた。
冬の雪原のように目を焼いたりはしないけどさ。
とにかく、一瞬で死ぬことはないと判断する。
目の前には問いかける相手がまたいるようだったが。
この間のカメラと同じなのだろう。
会話しているように見えて、結局次元のズレが存在している。
殺されることもなく。
同じ世界の人間でもなかった。

ならば快く。

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「こんにちはぁ」


音か、笛吹か、ともかく。

「大人になる、かぁ」
「自分は大人だからなぁ」

もうなってしまったものだ。なる、とこれから考えるものではない。
なる前のわずかに残った残滓のような記憶を辿るしかない。
その瞬間が、大人になるってことだろ。

「…」

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「理不尽を受け入れることかなぁ」


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「納得しない正しいことを、受け入れること」


「……」

そう思えば。
案外、まだ自分は大人じゃないのかもしれない、とは思ったが。
回答はそこまでだった。