
「えーっと…つまり、"困ってる人を、自分が損してでも助けるか、見捨てるか"って話?」
向こう側の壁を見る。
今まで、困っている人には出来る限り手を差し伸べて来た。その結果として損したことは…あったか?
覚えてない……何か大きなケガをしたってのも無かったはず。
まあ覚えてないってことは、つまり多少の損害は気にならないってこと…だと思う。
つーかそもそも、そーいうのって損得勘定で考えるものでもないような?

「俺なら、誰だったとしてもできる限り助けたい。敵でも味方でも、困ってることには違いねーし…
流石に悪いことするのは難しいけど……お腹が空いて死にそうとかだったら、俺でも助けられる。
別に、それでお金が無くなっても遅刻しても、生きてれば何とか出来るだろ?」

「もしも、助けたのがとびきり悪い人だったら…
その時は、俺が責任もって何とかする。何とかさせる。」

「あー、でも、助けたら俺が死ぬ!みたいなのだと困るな……
知らない人だったら、すっげぇ悩むと思う。でも友達とか家族だったら、俺は……」
正直、誰だって言うだけならいくらでも言える。俺だってそれはわかる。
…でも、
何もできないまま、目の前で友人や家族を失うってのは二度とごめんだ。
それくらいなら俺が犠牲になった方がずっといい。

「そんなピンチに巻き込まれないのが一番なんだけどさ……
でも、もし俺一人が死んで皆が生きるなら、皆に生きてほしい。」

「ま、色々言ったけど……なんつーかさ、人を助けるのに理屈をこねる必要なんて無いだろ。
そうしないと後悔する気がするから。……それって、理由になるかな?」