
「遠く遠く、すごく昔の話だよ。
……ああ、もうどれくらい経ったんだろうな。」
魔女狩りが盛んで、薬師が隠れ住むような時代だった。
貴族に金と権力が集中して、平民を処刑するのが趣味みたいな時代だった。
沢山の血を吸ったからさ。
沢山の命を捧げられたからさ。
──ふ、と。
裁きのギロチンが目を覚ました

「あの子は素敵なひとだった……。」
森に住む薬師と日々を過ごした。彼女が老いさらばえる迄。
過ごせたなら良かった。現実は炎より素早く全てを壊してしまうものだ。
案の定魔女と吊るし上られた彼女は、案の定ギロチンに首を挟まれ。
案の定そのまま刃は降りて、案の定華麗に首が飛んで行った。
案の定“僕”は何も出来なくて、案の定“僕”は空っぽを味わった。
しかし無情にも続いていくこの運命だから。
“僕”は彼女の輪廻を追っかけ旅する事になった。

「ここ数年は見てないな。
……いや、数百になったのかな。」
或いは数千、かもしれないな。
しかし立ち止まる術も知らなんだ。
一時期教わった事も、あったっけか。

「忘れたなあ。」
アレは誰だったか。