Chapter01-05

記録者: ルイ=テネーブル (ENo. 46)
Version: 1 | 確定日時: 2025-11-30 04:00:00

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  ──カシャ


シャッターの音の後、あなたを向いていたレンズがふと向きを変える。
何か未知のことを認識した様子で、その後にまたあなたにひとみが向いた。

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「観察対象、最終質問を提示します」


この対話の終端が近いようだ。
不思議な白い部屋での対話は、何の説明もなく始まり、そして終わるらしい。

奇妙な観察者は感慨もなく告げ、一拍。

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──あなたは、何をもって“自らの存在に価値がある”と判断しますか?


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「それは役割でも、使命でも、功績でも構いません。
 また、価値は不要であるとする見解も有益な観測結果となります。

 あなた自身が、どの基準で己を“肯定”し、
 何をもって“無価値”とせずにいられるのか。

 その価値に他者を如何にして組み込んでいるのか、
 その内的構造を、開示してください」


──あなたは自らに〝どのような価値〟があると認識していますか?

 
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「当機は、あなたの答えを推論する事はできても──
 代弁する事はできません
 故に此度は、 あなた自身の言葉で語られることを要求します」
Answer
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「……」

いままでは淀みなくすらすらと、
それでいて余裕ありげに問いに答えていた盗賊が言葉に詰まる。

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「……価値?俺の?」

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「ねェよ、そんなもん。
 路地裏の薄汚い賊に何を訊いてやがる……」

この場ではじめて見せる、明らかな苛立ち。
さんざ自虐してきたのだ、今更言うなということか。
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「俺は俺のこと肯定なんざしてねぇよ。
 俺はずっと無価値のままだ。
 当然だし、それでいいんだよ」

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「俺はロクデナシのクズだ。
 開き直って、逃げ回って、
 それで良しの日々を送り続ける気でいるぜ」

言葉を切り、天井を仰いだ。
暫しの間。
顔を正面に戻せば、いつものような嘲笑。
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「まッ、だからもう俺は何やってもいいのさ。
 どうせこっから落ちようもねえんだからよ

必死の誤魔化し。
こんなことを語る気はなかった。
ああ、やっちまったなあと内心思う。
せっかくのポーカーフェイスが、台無しだ。