Chapter01-04

記録者: ルイ=テネーブル (ENo. 46)
Version: 1 | 確定日時: 2025-11-30 04:00:00

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「では観察対象。それを踏まえて、次の問いです」


シャッターは下りないまま、
ただピントを合わせるようなジジ、という小さな音だけが聴こえてくる。

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「あなたの価値観を測ります。
 ──あなたにとって譲れないものは何ですか?
 自由でしょうか、信頼でしょうか、愛情でしょうか、それとも秩序でしょうか 」

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「その理由も含めて説明してください。
 対象や状況が変わった時、
 あなたの答えはどのように変化するでしょうか?」


──あなたは自らの価値観をどのように認識していますか?

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「譲れないもの、とひとえに考えても即座に思いつかぬ場合もあるでしょう。
 自由、信頼、愛情、秩序、誇り、忠誠、知識……無数の選択肢が考えられます。」


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「当機は観測を第一義として設計されています、
 どのような思考をせど、必ず『観測』という目的を前提に持ちます。

 これは精神的価値としての『誇り』や『忠誠』とは異なります。
 しかし、機能としての観測が揺るぎ得ない前提であるという点では、
 それらに類する不変性を持つと言えるでしょう」


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「思考の前提、当然と感じている事、
 それこそ、先の思考を組み立てる際に自らが重視したものを改めて噛み砕くと良いのやも知れません」


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「回答は単一である必要はありません。
 譲れない価値の間で揺れる感情や葛藤も、重要な要素です。
 必要に応じて検討を続けてください」

Answer
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「はあ?譲れないモン?」
何言ってんだコイツ?みたいな雰囲気を出しながら
頬杖ついて盗賊は目の前の人物を眺めた。
慇懃ですらない無礼はこの男の標準装備である。

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「さっき話したくれぇじゃ足りなかったか?
面白さだよ。面白さ」
先ほど自分に損害が出ても人助けをするか?
その問いに「唯一の例外」として持ち出した概念。
面白ければ何でも良い。逆に言えば、全てにおいて面白さは譲れない。

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「賭博。小説。盗掘。宛もない旅。
俺の核にしたいモンは全部、面白いモンさ」

意外と面白いもの、の定義のなかには
文化的なものも含まれている。
ドブネズミを自称する盗人だという割に。
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「刺激が強いなら強いほど、理想に近ぇな!
だってそうだろ?俺は盗賊なんだ。
例えるなら、アレだぜ?」

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とんでもねえお宝を見つけた時!
これぞ盗賊の生き様、真骨頂ってヤツだろ!
そんで俺にとってのお宝は面白さ。
お宝を誰かに譲ってやる盗賊なんざ、義賊以外にいねぇだろ」

珍しく朗々と語り、ふうと一息ついて一言付け加える。
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「見ての通り俺は義賊なんかやる気
さらさらねぇしな!!」

……案の定、その一言はだいぶ余計であった。