
「普通……」
考えを纏める時間を誤魔化すように、普通,普通……と繰り返し呟きながら。しばらくすれば前を向いて。

「私のいまいる世界は……なんていえばいいのかな。魔法とか魔術とか妖術とか……そういうものが、科学に追いやられて。」

「でも、追いやられたとしても科学の目の届かない所でひっそりと存在してる、みたいな……そんな世界です。」
普通という表現を避けることがこれほど難しいのか、と言葉繰りに苦戦をしながら。

「……普通、という事自体には、ちょっとヘンな持論があって。」
「その人の環境で、決まると思って、います。」

「例えば、スラムで過ごして、暴力でお金を得る様な少年少女にとって。
私がやっているような勉強をして、人の為に働くことで代わりにお金を得る、行為。
これがその子たちにとっての普通になるとは、思えません。……きっと逆もしかり、です。」

「だから、普通は世界で決まるものじゃなくて。その人の周囲、とか。日常で決まるものなのではないか、と思って、ます。」
自分の考えを纏める場としてやはり最適だ。
思考を巡らせて、口に出すことで自分でも自分の考えていることを知れる。
この後もしばらくはこの問いかけが続くのならば、折角ならば利用させてもらおう。夢から醒めるまで。