譲れないもの。
問われれば、少年は少し考え込む顔。
左手を顎に当て、しばしの時間の後。

「──私は、王だ」
口を開く。

「私は王だ。
魔導王国を導く革命王」

「その役目から逃げることは、
決して許されない。
私もそれを、許さない」
たまの休息ぐらいならばあっても良いだろうが、
最後には必ず玉座に戻る。

「シャルティオ・アンディルーヴは
王でなければならない。
王であることをやめた途端、“私”は死ぬ」
青の瞳は変わらず凛と。
強い想いを秘めて、輝いた。

「誰からも望まれなかった“出来損ない”が
変革を夢見るならばさ。
そして強い権力を手にし、
大好きな人たちから託されたのならばさ」
抱き続けた、切なる想い。

「ようやく夢が叶うんだ。
ようやく、手が届くんだ。
それを実行出来るのは、自分だけなんだ」

「ならさ…………
やるしかないだろって、話」

「だから“私”は──王なんだ」
これだけは絶対に、譲れない。