Chapter02-Fin

記録者: フェルヴァリオ (ENo. 64)
Version: 1 | 確定日時: 2025-11-30 04:00:00

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「そっかぁ……そういう音を持ってるんだ、君って」

足をぶらぶら揺らし、胸元の笛が軽く揺れる。
その小さな揺れは、まだ奏でられていない何かを予感させる。

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「ね、楽しかったよ。君の音、ぜんぶ新鮮だった。
 僕の知らないリズムで、知らない色で響いてて……」

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「──君の曲、きっとまだ続くよ。
 途中で休んだり、音を外したり、急に転調したりしてもさ。
 それでも“君だけの曲”になるんだ」

ゆるりともたげた手を、ひとさし指を
あなたに向けてはくすりと笑う。

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「だからね、止まらないで。
 君が止まったら、その続きの音、誰も聴けなくなっちゃうからさ」


そうして少年は揺らしていた足を床に着いて、
ひょっと立ち上がった──ように見えた。


──向かいの椅子には誰もいない。
目に鮮やかな少年の色彩は、もうどこにも認める事は出来なかった。

……あなたも意識して目を閉じれば、あるべきところに戻れるだろう。


ここトイカケはありません。回想や感想を自由に記入したりしなかったりしてください。
Answer
少年は、フェルヴァリオの言葉に何か確信を得たように
ふわりと微笑み、横笛を胸元で軽く揺らした。

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「だからね、止まらないで。」

その声は、風のように軽く。
けれど不思議と胸の奥の深い場所に届いた。

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「君が止まったら──
 その“続きの音”、誰も聴けなくなっちゃうからさ。」

足をぶらぶら揺らしていたはずの少年は、
すっと足を床へ下ろし、立ち上がる。

その動きが音に変わるように──
空気の境界がふるりと揺れた。

そして、

向かいの椅子には、誰もいなかった。

鮮やかな黄色の帽子も、
軽やかな横笛も、
風のような気配すら、
白い部屋から一瞬でかき消えていた。

ただ、耳の奥にかすかに残る“余韻”だけが現実だった。

そして、どこからともなく届く声。

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……あなたも意識して目を閉じれば、あるべきところに戻れるだろう。



フェルヴァリオはぽかんと口を開けたまま、
砕いていた素材を落としそうになった。

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「えっ……これは、もしかして夢?」

目を見開き、急に慌て始める。

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「ちょ、ちょっと待って。
 調合品は……完成していない……? え……?」

椅子の上を見ても、
机を見ても、
さっきまで整然としていた調合の痕跡は曖昧になっている。

夢のように、
いや、ほとんど夢そのものの輪郭。

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「ど、どういうこと……
 オレ……夢にまで仕事を持ち込むなんて……」

額を押さえて、深く困惑する。

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「いやいやいや……さすがに休みたいって思ってたけど……
 夢で調合までしてるとか、もう……」

竜としての威厳も、錬金術師としての冷静さもどこかへ飛び、
ただ “ 働き過ぎて困惑する少年 ” になっていた。

白い部屋は静かに沈黙し、
少年の言葉だけが奇妙に鮮明なまま残っている。

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──止まらないで。
──続きの音を聴かせて。

そして、どこにもいないはずの風が、
フェルヴァリオの髪をわずかに揺らした。