Chapter02-03

記録者: フェルヴァリオ (ENo. 64)
Version: 1 | 確定日時: 2025-11-30 04:00:00

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奇抜な色の羽織をひらりひら。
あなたの言葉を頷きながら聴いて、なるほど!なんて相槌を入れた。
少年にとってあなたの言葉は新鮮な音列なのだろう。
ありがとう!なんて言葉は程々に。また次のトイカケがあなたに振られた。

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「ねえねえ、君に訊きたいんだ。
 僕ってさ──いつも思うんだ。“正しいこと”って何なんだろうって?」

少年は笛を軽く指先でくるくる回し、空気に音の波を描くようにして言う。

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「だってさ、僕が吹く笛が誰かを笑顔にしたとき、
 それは“正しいこと”な感じがするでしょ?
 でも、もし誰かが嫌な気持ちになったら……それは“間違い”になるのかな?」


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「ね、君は──“正しい”ってなんだと思う?


──あなたは、何をもって“正しい”と判断しますか?

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「僕はさ、間違いなんてないと思うんだ。
 高い音も低い音も、速いテンポも遅いテンポも、全部必要で、
 楽しさも悲しさもぜーんぶ、大事なものなんだ!
 だから全部正しいって言えるんじゃないかなって」

見えない舞台の上で踊るように広げた両手。
世界のあらゆる感情を抱きしめるかのように、無邪気で貪欲だ。

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「たとえ誰かが“間違い”って言っても、
 そのせいで誰かが笑ったり泣いたり、変わるなら、
 それは正しいことになるんだ!」

少しだけ、笛の端がきらりと光った気がした。
正しさは、正解ではなく──変化そのものなのだと、少年は信じている。

少年は笛を胸に抱き、満足げに微笑んだ。

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「僕は“自分が正しい”と信じてる。だから誰かに間違ってると言われても気にならない!

 君はどう?周りの音は気にしちゃうタイプかな?
 それとも、君も自分の旋律を持っているのかな?
 ──君にとって“正しい”て何?」

Answer
境界の向こうの少年は、またごく自然に問いを“転調”させた。
軽い声音のまま、しかし瞳だけがひどく鋭い。

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「君に訊きたいんだ。
 僕ってさ──いつも思うんだ。“正しいこと”って何なんだろうって?」

足をぶらぶら揺らすリズムは軽快なのに、
その揺れの奥で──確かに“答えを探す気配”がある。
期待とも、観察ともつかない、細い刃のような緊張感。

フェルヴァリオは、今度はモンスター素材の袋を開き、
ゴリッ……と硬い音を立てながら爪か鱗を砕き始めた。

まるで答えを探すため、手だけは必死に動かしているように。

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「……魔法がある世界では、竜の言葉が絶対的に正しい。」

ぽつりと呟いた瞬間──
フェルヴァリオの唇が、わずかに“唱えた”。

それは声にならない呪式。
だが、確かに空気が揺れた。

ぼうっ。

フェルヴァリオの背後に、焔の竜の幻影が立ち上がる。
巨大で、灼熱で、支配的な“存在”。
ほんの一瞬で消えたが、
境界の向こうの少年の瞳は、しっかりとその形を見ていた。

フェルヴァリオは、火の気配が残る手元を見つめながら続けた。

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「……うーん、難しい。」

爪を砕く音だけが、乾いたリズムで響く。

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「自分たちが正しいとは、全く思えない。」

淡々とした言葉の中に、
さっき背後に現れた竜の威圧とは別種の“弱音”が混ざる。

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「でも、オレは……
 錬金術を通しては、正しいことも間違ったこともしていないと思う。」

その声は、曖昧で、でもどこか芯があった。
“自分という個”ではなく、
“自分が行っている行為”に価値を置くような言い方。

境界の向こうの少年は、
足の揺れを止め、
静かにフェルヴァリオを見つめていた。

まるで、いまの答えを──
旋律として耳の奥に刻むように。