境界の向こうの少年は、
フェルヴァリオが言い終えるのを待つ間もなく、
軽やかに音階を変えるように──話題を跳ねさせた。

「じゃあさ、次々!」
横笛を指先でくるりと回し、
まるで自然な“転調”のように問いが続く。

「君はさ、自分自身のことをどのくらい信用してる?」
本当に、息をするみたいに質問を重ねてくる。
思考の流れが音楽でできているような少年だった。
フェルヴァリオは、薬草をさらに潰しながら
適当な相槌を打とうとして──

「ふえっくしょん!」
突然のくしゃみに、薬草の粉が少し舞った。
少年はぱちくりと目を丸くする。

「えっ、なに?」
フェルヴァリオは鼻を押さえながら、
完全に聴き流し半ばで、あまり考えずに答える。

「あー……まあ、
人間からお金取れるくらいには、信用してもらってる。」
どこまでが質問の答えで、どこまでが愚痴なのかも曖昧だ。
適当で、素っ気なくて、でも妙にフェルヴァリオらしい返事。
境界の向こうの少年は、
小首をかしげながら、それをじっと聴いていた。
その瞳に、また何か次の“音”が浮かび上がる予兆がある。
今にも、また別の質問が飛び出しそうだった。