
「今度は悪い、かぁ」
首を反対へ大きくひねり、ううんと唸り声を上げる。うう、とかああ、とか、しばらくうめき声を上げた後、ぽつぽつと話し出すだろう。

「俺の村では昔から、悪いやつって言えば人狼だったんだよね。狼男、ってやつ。俺の村にはたまにそれが生まれて、そいつが悪さをするから村が貧乏なんだ、って言われてた。」

「んで、俺はその人狼だったんだよね。その村で言う人狼って話なんだけど。人狼ってバレたら殺されるかも知れないから、内緒にしてたし今でもしてるんだけどね」

「そう、俺の村、人狼だったら最悪殺されるかも知れないんだ。まだ何もしてない赤ん坊でも。何もしてない赤ん坊のうちに。なぁ、そんなの『悪いやつ』のやることじゃね?」

「でも、俺の村の人達が悪いやつなのかって言うとそうじゃなくて。全然普通なんだ。人狼の赤ん坊は殺すかも知れなくても、そうじゃないと思ってる俺にはお菓子を分けてくれたり、暗い夜は危ないから早く家に帰れって送ってくれたり、普通にみんないい人なんだ」

「俺だって、そんな村に悪さをしようなんて思ったことはないよ。いや思ったことがないことはないけど、やったことはないよ。だってやったらホントに悪い人狼になっちゃうじゃん」

「えっと、だから、悪いことをするやつも、悪いことしてないときはいい人だったりするし、いい人だって自分が危なくなりそうなとき悪いことをしたりするんだ。だれでも悪いやつだし、誰もみんないい人なんじゃないかなって俺は思ってるんだよね」

「で、結局いい奴よりなのか、普通なのか、悪いやつ寄りなのか、みたいな感じだったら、俺はいい奴寄りになりたいな~と思ってるかな」