Chapter01-05

記録者: ダミアン・ガルーナ (ENo. 145)
Version: 2 | 確定日時: 2025-11-30 04:00:00

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  ──カシャ


シャッターの音の後、あなたを向いていたレンズがふと向きを変える。
何か未知のことを認識した様子で、その後にまたあなたにひとみが向いた。

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「観察対象、最終質問を提示します」


この対話の終端が近いようだ。
不思議な白い部屋での対話は、何の説明もなく始まり、そして終わるらしい。

奇妙な観察者は感慨もなく告げ、一拍。

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──あなたは、何をもって“自らの存在に価値がある”と判断しますか?


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「それは役割でも、使命でも、功績でも構いません。
 また、価値は不要であるとする見解も有益な観測結果となります。

 あなた自身が、どの基準で己を“肯定”し、
 何をもって“無価値”とせずにいられるのか。

 その価値に他者を如何にして組み込んでいるのか、
 その内的構造を、開示してください」


──あなたは自らに〝どのような価値〟があると認識していますか?

 
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「当機は、あなたの答えを推論する事はできても──
 代弁する事はできません
 故に此度は、 あなた自身の言葉で語られることを要求します」
Answer
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「え、もう最後? ちょっとさみしいね」

鋭い三白眼を少し細めてそういった後、続いた問いかけに今度は目を見張って口を噤む。
少し視線を彷徨わせて逡巡した後、ゆっくりと口を開いた。

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「俺に価値があると思えるか、って聞かれたら、ぶっちゃけると今も無いような気がしてるよ」

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「学校に通う前まではね、俺に価値なんて全然無いと思ってた。むしろ、居なくなったほうが良いと思ってたよ。実際、俺の故郷で俺は居ないほうがいい奴だったから、しょうがないよね」

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「でもね、学校の友達は俺にすっごく良くしてくれたし、魔法を使えるようになって、今の仕事始めてからはちょっとは役に立てるようにもなったし、それに俺が居なくなったら悲しんでくれる友達とか、先輩とか、何人かいるから、居なくなったほうが良いとは思わなくなったかな」

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「俺の価値は、俺と仲良くしてくれる人たちが与えてくれるから、俺はその人達を大事にしたいって思うよ」