【スキアが妻に告白したとある夜】

「聴いてくれ、リューリ。……俺は数百年間でたった一人だけ、本当に殺めてしまったんだ」

「それまでは操る形で大きな敵を利用し、群がる敵を亡き者にしていた…。最後に自滅させる形でな」

「あの少女は…リューリ、君に似ていた」

「俺はやはり人の心が持つ大いなる光には弱いらしい」

「――俺はあの子を救えなかった」

「…たった一人だけ寄って来た少女に嬉しくなりすぎて…感情が爆発したんだ」

「それからのことはあまり覚えていない」

「気づいたら少女は…仰向けに倒れていた」

「自身の影がたくさん出ていて、少女は動くことが無かった。しかし――」

「あの子は最後の力を振り絞ってこう言った」

「【貴方に会えてよかった】と。そう言っていた」

「……俺は、震えた手で少女を影に呑み込んだ。それがせめてもの救いだと思ってな」

「………」

「まあ過去は振り返らない性分だが…たまには話しておかないと、と思ってな」

「話を聞いてくれて、ありがとうリューリ。リンゴでも剥いておくよ」