
「また先回りしちゃった。でもこれは今君と話してて思いついたことなんだよね。」

「正しいことがあるから悪い事があるんだと思うよ。キミが正しいからキミを止める人は悪いってことになるんでしょ?」
嗤う少年にニヤリと笑い返し、しかし次の瞬間肩をすくめて視線を外す。

「なんて、それもちょっと変だけどね。どっちかが正しくてどっちかが悪いときもあると思うし。例えばオレオレ詐欺みたいな、正しい人がいるわけじゃなくて、悪いことしようとして悪いことする人だっているもんね。」
外した視線を床に向けて、スッと目を細めて考えている。

「うーん、なんだろ、悪いのかたち。」

「ぱっと言うと自分が良ければ良い~、な感じだけど、他の人に迷惑かけてないならなんか別にいいよね、って気もするね。」

「キミの言う人たちの悪いところは『自分とおんなじになれ~』って押し付けてくるのが悪いって感じする。でもキミだって『僕の方が正しい』って言うのはそれと同じじゃん?」
伸びをしながらイスにもたれかかり、再び少年の方を鋭く見やってニンマリと嗤う。

「まぁ、うちが言うなら、誰かに意地悪するのが悪いって感じかな~。うん、そう思うな。」
すとんと腹落ちするものがあったらしい。ニシシ、と少し意地悪そうに笑った。