Chapter02-01

記録者: 薄場心檻 (ENo. 146)
Version: 2 | 確定日時: 2025-11-30 04:00:00

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あなたがふと気が付けば、真っ白な部屋に居た。
そこには椅子がひとつ置いてあるだけで、他に何もない。

あなたが以前来たあの部屋と、まったく同じに見える。
壁に触れても感触は無く、すり抜ける事も出来なければ
もうひとつの椅子を見る事も叶わない。

──あなたが椅子に座れば、部屋は拡張されたように感じる。
視界の向こうに椅子があり、そこに誰かが座っている。

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「あれ?」

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「あはっ、すごい。君っていつの間に居たの?
 ちっとも気付かなかった!だってさっきまで誰も居なかった、
 君の音はひとつも聴こえて居なかった!きっと何かが君を導いたんだね」


奇抜な色彩を纏った少年が、にこやかに楽しげにあなたを見ている。
足をぶらぶらと揺らしながら、まるで軽やかな旋律そのもののようだった。
胸元に下げた横笛が、少年の小さな動きに合わせて微かに揺れ、
そのたび、金属が擦れ合う透明な響きが空気を震わせる。

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「ね、僕さ、訊いてみたい事があるんだけど、いい?
 きっとこれは風の導き、新しい楽章の予感!
 今まで聞いたことのない音に出会えそうな気がするんだ!」


少年はあなたに体を傾け、目を輝かせる。
質問を投げかける瞬間でさえ、ひとつの“旋律”を紡ぐように。

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「──君はさ、大人になるってどういうことだと思う?


──あなたは“大人”とは何だと思いますか?

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「僕はね、毎日新しい音を探してる。
 繰り返しばっかりの退屈な道ばっかり歩いてたら、その曲は死んじゃうでしょう?」

空中に弧を描くように指先を動かす。
まるで目に見えない五線譜に、音を刻むみたいに。

その仕草に合わせて、笛が揺れて微かに音を鳴らしたような気がする。
それが空耳なのかどうか、判断できない。

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「僕から見たら大人って、死んだ曲をずっと流してる人たちだ。
 一体何が楽しくてそんなことをしてるのか、僕には全然分かんない!

 君はどう思う?大人ってもしかして僕が知らないだけでもっと楽しいものなのかな?」

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ふと気づき、いつも一緒の妹の気配がないこと、前と同じ部屋と椅子を見つけて下唇に少し触れる。

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「同じような夢とか珍しいな〜。キューさんに今度はなに聞かれるのかな?」

期待半分不安半分腰を下ろして現れたにぎやかな旋律に一瞬気圧されてぱちくりと瞬き、そう年の離れていなさそうな少年に笑いかける。

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「びっくりした〜。違う子が来ると思ってなかったから。君の……」

名前を尋ねようとした言葉を遮るように聞きたいことがある、とまくし立てられて口を閉ざし、遮られた事を気にすることもなく頷いた。
大人とは、と言う問いかけを聞いて、コトンと首を傾げる。

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「おとなになる、かぁ、なったこと無いから分かんないな。キミはどう思うの? 死んだ音がする? へ〜、変わってるね〜。でも、何となく言いたいこと分かる気もするかも? なんか、大人ってつまんなそうにしてる時多いよね。お仕事が大変なのかな?」

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「お仕事大変そうだし、大人になるって辛そうだからあんまりなりたくないかもな〜。」