
「あら、聞き取りにくかったかしら? なら、もう一度」
オブザーバーの言葉に軽く肩を竦めて、もう一度自己紹介から始める。

「私の名前はミラ・ステラウィッシュ。ルアルという街で水煙草カフェの店主をしているのよ」

「そうね、私たちの世界では、誰もが生まれながらにして魔法石を持っているの。それを使って魔法を使いながら暮らしているわ」
そう言って頭に手をやると、スッと深い藍色の髪に挿していた簪の先にある、つるりとした宝石を見せる。
逆側の手でポケットを弄り、目的の箱を取り出すとそこから一本のタバコを取り出した。
ぽってりした唇に咥えると、簪についていた宝石が一瞬きらめき、タバコの先から細い煙が上がる。

「あなたが嫌煙家だとしたらごめんなさい、でも、これが私の一番得意な魔法なの」
少し申し訳なさそうに眉を下げた後、染み渡らせるようにたばこの煙を吸い込んで、つややかな唇からふぅっと吐き出す。
その煙は獣の特徴を持った人の姿や妖精の姿を形作っては消えていく。

「あとはそう、私の世界では私のような姿の他にも、猫に似た耳や尻尾を持つ人や、小さくて羽の生えた人もいるわ。」

「色んな人がいるわね。でも、誰もが魔法石を持っていて、魔法が使える。そんな世界かしら」