
「……」
やっぱり全部は伝わり切らないか。
まあ、さして期待もしていなかったので、まあ。
ところでとんでもなく面倒くさい質問をされてしまった。
何と言えばいいのか。何故なら――――

「……わかっている部分だけでいいでござるか?」
「悪いでござるね。なにぶん、こちらも調査中なんでござる」
どこからどこまでが普通であり、そうでないかが不明であった。
あの世界の全てを解き明かすどころか、きっと些細なところだって、あの世界では説明できる人間など少ないだろう。
その理由は、さておき。

「しかも難しいんだよな言葉が……えっと。
拙者の世界は第五宇宙にあるらしいでござる。地球と呼ばれる惑星に存在している……はず。
時間の流れはオブザーバー殿と同じっぽいでござるね。一週間が七日だし」

「科学技術は高度に発達していて、オブザーバー殿のような自立型思考を持つ機械はたくさんあるし、
生活にも必要不可欠と言っていいほど普及しているでござるね。……いつの間にか…………。
だからその、文明も発達していると思ってもらって構わないでござる」

「で……特徴的な生き物は夜鷹でござろうか。
星の欠片を核とした魔物、と説明するのが一番簡単でござるね。
姿形は千差万別にして一様に利無し。何に対しても危害を加えるので完璧に全てが討伐対象でござる」

「討伐は政府の人らが隊を出す事もあるでござるが……かなり稀な例でござるね。
大体は星の欠片を核とした人間……異能者の対応になるでござる」

「異能者とそうでない一般人の人口比率は、確認できている範囲では1:9とかなり偏っているでござるが……
まあ、異能者なんて大体皆人の身に余る異能を持ってるから……少数精鋭で大体狩れてる感じでござるね」
つまりまとめると、人間がいる。
人間の中には異能者とそうでない者がいる。夜鷹という魔物がいる。
夜鷹に脅かされないように、現れるそれらを狩りつつ、人間は暮らしている。

「――この生活が始まって4年とちょっとでござる。
その前までは夜鷹も異能者もいなかったし、文明だってこんなに……」

「ウチの世界、一度書き換えられたんでござる。星の欠片ってさっき説明に使ったでしょ。
今言ったこと、ぜ~んぶ星の仕業でね」

「……わかる? 星。あのお星さまでござるよ。
アンタと拙者の認識が同じなら、夜空に光ってるアイツら……」

「ウチの世界は星によって支配された世界でござるよ。そしてそれを受け入れている」
「今は書き換えられた普通を読み解いている途中」
語っている内に投げやりな印象を受けたのであれば、それは間違いない。
実際投げやりであった。
そして「受け入れている」という言葉の通り、嫌気が差している風でも無かった。
これの普通も、既に書き換えられていた。
荒唐無稽な話だろうか。
そちらに嘘を感知する機能なんかが無ければ、出まかせを言ったと判断してもらっても構わなかった。