奇抜な色の羽織をひらりひら。
あなたの言葉を頷きながら聴いて、なるほど!なんて相槌を入れた。
少年にとってあなたの言葉は新鮮な音列なのだろう。
ありがとう!なんて言葉は程々に。また次のトイカケがあなたに振られた。

「ねえねえ、君に訊きたいんだ。
僕ってさ──いつも思うんだ。“正しいこと”って何なんだろうって?」
少年は笛を軽く指先でくるくる回し、空気に音の波を描くようにして言う。

「だってさ、僕が吹く笛が誰かを笑顔にしたとき、
それは“正しいこと”な感じがするでしょ?
でも、もし誰かが嫌な気持ちになったら……それは“間違い”になるのかな?」

「ね、君は──“正しい”ってなんだと思う?」
──あなたは、何をもって“正しい”と判断しますか?
sample

「僕はさ、間違いなんてないと思うんだ。
高い音も低い音も、速いテンポも遅いテンポも、全部必要で、
楽しさも悲しさもぜーんぶ、大事なものなんだ!
だから全部正しいって言えるんじゃないかなって」
見えない舞台の上で踊るように広げた両手。
世界のあらゆる感情を抱きしめるかのように、無邪気で貪欲だ。

「たとえ誰かが“間違い”って言っても、
そのせいで誰かが笑ったり泣いたり、変わるなら、
それは正しいことになるんだ!」
少しだけ、笛の端がきらりと光った気がした。
正しさは、正解ではなく──変化そのものなのだと、少年は信じている。
少年は笛を胸に抱き、満足げに微笑んだ。

「僕は“自分が正しい”と信じてる。だから誰かに間違ってると言われても気にならない!
君はどう?周りの音は気にしちゃうタイプかな?
それとも、君も自分の旋律を持っているのかな?
──君にとって“正しい”て何?」