Chapter01-05

記録者: アン=ドライツェーン (ENo. 131)
Version: 1 | 確定日時: 2025-11-27 04:00:00

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  ──カシャ


シャッターの音の後、あなたを向いていたレンズがふと向きを変える。
何か未知のことを認識した様子で、その後にまたあなたにひとみが向いた。

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「観察対象、最終質問を提示します」


この対話の終端が近いようだ。
不思議な白い部屋での対話は、何の説明もなく始まり、そして終わるらしい。

奇妙な観察者は感慨もなく告げ、一拍。

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──あなたは、何をもって“自らの存在に価値がある”と判断しますか?


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「それは役割でも、使命でも、功績でも構いません。
 また、価値は不要であるとする見解も有益な観測結果となります。

 あなた自身が、どの基準で己を“肯定”し、
 何をもって“無価値”とせずにいられるのか。

 その価値に他者を如何にして組み込んでいるのか、
 その内的構造を、開示してください」


──あなたは自らに〝どのような価値〟があると認識していますか?

 
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「当機は、あなたの答えを推論する事はできても──
 代弁する事はできません
 故に此度は、 あなた自身の言葉で語られることを要求します」
Answer
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「不躾だな。…まぁ、良い。これでこの問答も最後か」

良い時間潰しになった、なんて付け加えて、彼─オブザーバーを見据える。

元々は孤児で、生きることに精一杯だった。
生きるためなら何でもした。
後ろ暗いことも、だ。
剣術も魔術も、詰まる所生きるために得た力。

それを以て軍人となり、戦い、敗れ、今の主に出会い、名を与えられ、今に至る。

為した事、為せなかった事。
救えた命、救えなかった命。
犯した罪、残してきた功績。

それらを顧みて、それでも迷いなく、口を開く。

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「私の価値など、どうでも良い。
 私は私だ。その時々に応じて、己が為すべきだと思った事を為す」

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「何をもって自らを無価値でないとするか、という問いに、強いて応えるならば、
 生きていることだ。生きているからこそ、選び、決断し、行動できる。これが私の答えだ」