Chapter01-04

記録者: アン=ドライツェーン (ENo. 131)
Version: 1 | 確定日時: 2025-11-27 04:00:00

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「では観察対象。それを踏まえて、次の問いです」


シャッターは下りないまま、
ただピントを合わせるようなジジ、という小さな音だけが聴こえてくる。

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「あなたの価値観を測ります。
 ──あなたにとって譲れないものは何ですか?
 自由でしょうか、信頼でしょうか、愛情でしょうか、それとも秩序でしょうか 」

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「その理由も含めて説明してください。
 対象や状況が変わった時、
 あなたの答えはどのように変化するでしょうか?」


──あなたは自らの価値観をどのように認識していますか?

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「譲れないもの、とひとえに考えても即座に思いつかぬ場合もあるでしょう。
 自由、信頼、愛情、秩序、誇り、忠誠、知識……無数の選択肢が考えられます。」


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「当機は観測を第一義として設計されています、
 どのような思考をせど、必ず『観測』という目的を前提に持ちます。

 これは精神的価値としての『誇り』や『忠誠』とは異なります。
 しかし、機能としての観測が揺るぎ得ない前提であるという点では、
 それらに類する不変性を持つと言えるでしょう」


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「思考の前提、当然と感じている事、
 それこそ、先の思考を組み立てる際に自らが重視したものを改めて噛み砕くと良いのやも知れません」


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「回答は単一である必要はありません。
 譲れない価値の間で揺れる感情や葛藤も、重要な要素です。
 必要に応じて検討を続けてください」

Answer
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「……」

譲れないもの。
自らの主・皇帝に対する忠誠も、確かに大切なものだ。
軍人としての務めがあるとはいえ、今の自由な暮らしも、確かに悪くない。
新たに得られる知識も、その都度自らの成長を実感でき、喜びを感じる。

だが、それら全て、譲れないものと表現するには、少し違う気がした。
自らの根幹。
譲れないもの。

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「これから生まれる子らに、かつての私のような暮らしをさせない事。
 今そういう暮らしをしている者に、少しでも早く手を差し伸べる事。
 誰もが、理不尽な命の危機に晒されず、生きていけるような世界にする事。
 そのために力を尽くす事が、私にとって譲れないものだ」