
「はぁ?自己紹介させといて、それは無いんじゃないの?
というか、こっちからは聞き取れてると思うんだけどなぁ……」
どうにも曖昧な表現に、気の抜けた声が漏れる。
近付けばいいかとも思ったが、まだ様子を見た方が良さそうだ。
何から何まで聞くつもりだろうか、情報収集に余念がない。

「普通……普通か。生憎だけど、俺も普通を知らないんだよね
だから、あんたが話した普通の生活も、何の事だかわかりゃしない」

「でもそうだな…あえて言えば、常に争い合うのが俺の普通だった
戦って戦って。生き残って、焼けた地を、鉄の上を歩いて……」
伏し目がちの赤目から出てくる言葉は、いわゆる戦争の話だっただろう。
それが彼の日常であり、それ以外の事はつい最近まで知り得なかったもの。
途中まで言いかけた言葉を打ち切るように顔を上げ、レンズを見据える。

「ま、要するに、争いの絶えない世界だったって事。
そこで俺は突撃兵として、バッタバッタと敵を倒す毎日
同年代の仲間が倒れていく中、何故だか俺は死ななかった」

「もしかしたら、敵さんが情けを掛けてくれてたのかもね…
……なんてね、ははっ」