Chapter02-05

記録者: マリアンデール・Ⅸ・モルガーナ (ENo. 93)
Version: 1 | 確定日時: 2025-11-27 04:00:00

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「ねえ──じゃあさ」

ぱちん。
少年が指を鳴らす。
軽快なくせに、不思議と胸の奥をざらつかせる音がした。

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「“正しい”があるなら……“悪い”って、なんだと思う?

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「君の思う“悪さ”ってさ。どういう形をしてる?
 ……悪い人って、どうして悪い事をすると思う?」

その声は明るいのに、奥底に沈むものは冷たく澄んでいる。
冗談みたいな口ぶりなのに──その実、返答を逃す隙を与えないほど見つめていた。

──あなたは、何をもって“悪い”と判断しますか?


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「僕が新しい曲を吹こうとするとね、
 止めようとする人がいるんだ。すっごく真面目な顔してさ」

笛に指を当て、吹く真似をして。
けれども笛を通して音を出す事はしないで、
また手持ち無沙汰のように笛を手でいじる。

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「親も、偉そうな大人も、見回りの憲兵も、
 神様の言うことばっかり唱える聖職者もね。

 彼らはそれを“正しいこと”だって僕に言うんだよ。
 でもさ、僕の新しい音を止めるんだよ? それってさ──」

そうして。歌う様な声で嗤った。

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〝悪い〟ってことじゃない?

      ──だって僕の方が正しいのだから!

……少年はあなたを見ている。
Answer
自分の胸へと手を当てて、尊大な身振りでもって答えを口にする。

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「私を美しいと崇めようとしないこと。私の正しさを理解しないこと。
 総じて、私に尽くさない全ての生命。欠陥品。
 この愛を理解できない者は生命である資格を持たないの。全て悪。
 でも私は優しいから。そんな悪い人にだって手を差し伸べて、良い人にしてあげる。」

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「それより、ねぇ?さっきのは何?
 私を怖気つかせようとしたの?心が揺れれば本心が引き出せるとでも?
 いいえ。いいえ?私は常に本心で語らっているわ。嘘偽りなんて此処には無い。
 アナタも…悪い人なのかしら。ねぇアナタ。薔薇の香りはお好きかしら。

ふわっと部屋に甘い薔薇の香りが満ちる。香りの中心で悪意の蕾が笑っている。