Chapter02-01

記録者: ミリア・ルイン (ENo. 109)
Version: 1 | 確定日時: 2025-11-27 04:00:00

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あなたがふと気が付けば、真っ白な部屋に居た。
そこには椅子がひとつ置いてあるだけで、他に何もない。

あなたが以前来たあの部屋と、まったく同じに見える。
壁に触れても感触は無く、すり抜ける事も出来なければ
もうひとつの椅子を見る事も叶わない。

──あなたが椅子に座れば、部屋は拡張されたように感じる。
視界の向こうに椅子があり、そこに誰かが座っている。

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「あれ?」

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「あはっ、すごい。君っていつの間に居たの?
 ちっとも気付かなかった!だってさっきまで誰も居なかった、
 君の音はひとつも聴こえて居なかった!きっと何かが君を導いたんだね」


奇抜な色彩を纏った少年が、にこやかに楽しげにあなたを見ている。
足をぶらぶらと揺らしながら、まるで軽やかな旋律そのもののようだった。
胸元に下げた横笛が、少年の小さな動きに合わせて微かに揺れ、
そのたび、金属が擦れ合う透明な響きが空気を震わせる。

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「ね、僕さ、訊いてみたい事があるんだけど、いい?
 きっとこれは風の導き、新しい楽章の予感!
 今まで聞いたことのない音に出会えそうな気がするんだ!」


少年はあなたに体を傾け、目を輝かせる。
質問を投げかける瞬間でさえ、ひとつの“旋律”を紡ぐように。

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「──君はさ、大人になるってどういうことだと思う?


──あなたは“大人”とは何だと思いますか?

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「僕はね、毎日新しい音を探してる。
 繰り返しばっかりの退屈な道ばっかり歩いてたら、その曲は死んじゃうでしょう?」

空中に弧を描くように指先を動かす。
まるで目に見えない五線譜に、音を刻むみたいに。

その仕草に合わせて、笛が揺れて微かに音を鳴らしたような気がする。
それが空耳なのかどうか、判断できない。

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「僕から見たら大人って、死んだ曲をずっと流してる人たちだ。
 一体何が楽しくてそんなことをしてるのか、僕には全然分かんない!

 君はどう思う?大人ってもしかして僕が知らないだけでもっと楽しいものなのかな?」

Answer
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「大人になること、ねぇ。難しい質問して来るじゃない。何処からが大人って言うのかしらね。本当に。
 私は大人になる事と言われても良く分かんないわ。お父様もお母様も、や士気を残して何処かへ行っちゃったもの。
 身近な大人の例がないから何とも言えないけれど……そうねぇ、強いて言うなら……」
ふむ、と少し考えこむように手を当てて。
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「自分のやることに責任を持てるようになること、じゃないかしら。楽しいかどうかはその人次第だと思うわ。
 少なくとも、そうねぇ……私は年齢的には大人と呼ばれても良いのかもしれないけれど、自分が大人だと感じては無いわ。
 だって、自分の周りの事にしか責任を持てないもの。吸血種であることの責任までは……まだ重いわ。
 私を信じて身を委ねてくれる子たちはいるから、そういう子たちの為に生きているわ。大人というのなら、ね。」
でも、と言葉を続けて紡ぐ少女は、何処か楽しそうに微笑んで。
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「貴女も大人になるのが不安だというのであれば、そうね。自分がやりたいことを探してみればいいんじゃないかしら。
 そして出会ったやりたいことと、責任を持つこと。この二つが出来れば大人なんじゃない?
 なんてことしか言えないけど、ね。私には。私もまだ、大人だと自分を認識していないのだもの」