──あなたにとって"譲れないもの"は何ですか?
"譲れないもの"。
自身にとって、何が起ころうと手放してはいけない其れ。

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「そうだな……
…………」

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「……えぇと。
私がヒルデブラント帝国の皇帝である、という話はしたよね?
そして、祖国を始め、多くの国や領地が、互いに睨み合い続けている事も……」

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「私は、ね。
そんな国々に、民達に。
助け合う事がどんなに大切な事かを、伝えて、広めたいんだ」

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「……詳細は省かせて頂くけれど。
私には、幼少の頃に体験した、"掛け替えの無い想い出"が有るんだ」

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「其の記憶、触れた事、感じた事……
今の私という存在を形成する基盤となってくれた……とても大きくて、重要なもの」

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「例え種族が違っても、考え方が違っても。
言葉が通じて対話が出来るのなら、汎ゆる壁を越えて手を取り合う事だって出来ると、私は身を以て知っている」

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「……私が12歳で即位して数年。
未だに文官達や国内の貴族の方々には鼻で嗤われるし、戯けた妄想等と言われるけれど。
私は、此れから何が起ころうと、成し遂げたいんだ」

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「要するに。
助け合いと共存に依って、安定した平和を実現させる事。
……其れが、今の私の"譲れないもの"、だね」
以上が、此の質問への回答となる、だろう。

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「…………」

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「絶対的な力を持つ指導者が君臨したとして、其の方が居なくなってしまえば、どうなるか。
彼等も、父上や異母兄上で経験している筈なのに」

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「……どうして、皆。
そういう皇帝ばかりを、求めるんだろう……」