
「ンだよ折角こたえてやたのによ~」
軽く頬を膨らませる。慣れてはいるのでわざとだ。会話ができるだけマシというもの。こっちの言葉が相手に伝わらないどころか、相手の言葉がミリも分からない世界の方が多い。というかほとんどである。
――ただ、観察対象という言葉が出る度に、眉間に皺は寄った。

「俺の世界の普通?」
少し考える。さて、どう返すべきか。……よりによって世界のことだ。追われる身としてはあまり答えたくない。
かといって嘘を言うのは性に合わない。それとなくはぐらかしておこう。

「飯食って酒飲んで寝る……って、オトナの男は言ってるぞ。俺の国以外のことは知らないから知らないけどな」
ふん、とそう答えてそっぽを向いた。それ以上は言うつもりはなさそうだ。観察対象と呼ばれなければもう少し答えたんだろうが、機嫌が悪いとあからさまにレスポンスが悪くなる性格……の、子供ということになっている。