──あなたは、異世界の存在にあなたの世界のどのように説明しますか?

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「……"属する世界"……
"普通"、かぁ……」
要するに、自分の出身について語れば良い、という事か。
参考に聞いたオブザーバー殿の話は、良く理解らない単語も多く、想像が出来なかったけれど。
居住する地が球体って、大地って基本的に平面的じゃないの? 違うの??
そういう世界も在るって事、なのかな……凄いなぁ……
ともあれ。
今回は、自身が
生まれ育った国が在る
大陸について、語れば良いか。

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「……私が居る世界は、"********"と呼ばれる大陸だ。
其処の西北西地域の一部が、祖国である"ヒルデブラント帝国"の領地、だね」
姿勢を正し、回答を続ける。

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「世界には"天上族"と"地上族"が居て、大陸は後者の世界だ。
"地上族"は、主に……
私の様な姿の人間種。
獣人や蜥蜴の民、有翼といった様々な姿の亜人種。
妖精や精霊といった、森羅万象に関わる存在達。
そして野生動物と、其れ等と似て非なる魔物の類が存在する。
野生動物や魔物以外は、基本的に其々の国や領地で生活しているよ」

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「……共通する問題は、主に魔物による被害、かな……
馬車や商隊が襲われて荷物を奪われたり、とか……
村の畑を荒らされて作物を盗まれたり、民に危害を加えてくる事も有る」
一呼吸。

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「……其の上で。
今、大陸は……殆どの国々が、互いを支配・統一しようと隙を伺い、睨み合う状況が……長年、続いている。
私が読んだ歴史書に依ると、現在残っている国の中には100年近くもそうし続けている所も在る、そうだ」

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「私の祖国も……
私が皇帝に即位する前までは、同じ様な状況だったね」
ふぅ、と。
深い溜息を、ひとつ。

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「え、"天上族"について?
えーと……実は、存在するという事以外、詳しい事は知られてない、というか……
存在はしているけれど、大陸での目撃証言は基本的に無い、というか……
大陸最南に在る絶対不可侵の都市国家は信仰対象にしているそうだから、色々知っていると思うけれど……まだ行った事が無いからなぁ……」

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「次に……私の世界での"普通"について、だね」

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「と言っても、国や領地の環境、種族に依って文化や習慣が違うのは当然だし……
同じ場所で暮らしているから皆の何もかもが似ている、という訳でも無いし……
うーん……
改めて訊かれると、"普通"って難しいな……」

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「……あぁ、でも。
此れだけは、はっきりと言えるかな」
そっと、自身の瞳の傍に、手を添える。

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「私の瞳。
貴殿の位置から見えてるか、判らないけれど……蒼色をしているだろう?」

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「此の色はね。
祖国では、私だけしか居ない異物なんだ」

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「いや、厳密には母譲りらしいのだけれどね。
私の実母、身元不明の棄児だった上に、私を産んで程なくして亡くなったそうだから、実際に見た事は無くて……」

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「兎も角。
私の此の瞳の色は、私の祖国では"普通"ではない。
……其れだけは、はっきりと言える、かな」
一先ず。
此度の質問への回答は、そう締め括るのだった。

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「…………」

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。o(せめて、父上と同じ眼の色だったなら。
正室のカタリーナ様にも、ちゃんと気に掛けて頂けた、のかな……)