
ニュクテリス
「……ねえ、撮影はプロデューサーを通してくれる?」
幾度か鳴った音にご立腹。それがくしゃみや咳のようなものだとしても。
勝手に撮られるのは嫌いらしかった。

「ボクの世界……世界とも言えない隙間に生まれたんだけど。
"世界と世界の狭間"に生まれた子は、いちばん近い世界に引き寄せられる。
引力みたいに世界に引きずり込まれるんだ」
それは元々その世界に生まれることとどう違うのか、といえば。

「その世界に属することはできない。世界にとって異物なんだ、ボクたちは。
だからしばらくそこで過ごすと、また世界の狭間に放り出される」

「それを繰り返すうちに、自分にとっての"普通"が決まっていくの。
ボクは生まれたてだって言ったけど、そのとき一番近かったのがこの世界なんだ~」
つまり、ここでの過ごし方そのものが"普通"となるのだろう。
――最終的な答えとしては。

「だから、その質問にはまだ答えらんないや。
あなたが観測するボクがボクの世界での"普通"だよ」
そういうことらしかった。