
トラレ
「価値、価値ねぇ……
私は別に私の価値を証明したいとも思わないのよ。
在りたいようにただ在るだけ。自然に生きる魔女なんて皆そうだと思うけど」

トラレ
「アルカーナムの子たちにとっては、私は所有者になるし。それだけで価値ではあるわねぇ。
メンテナンスしたり、お世話したり、けれど私の我儘にも付き合ってもらっているし」

トラレ
「……そうね。あえて、あえてよ?
あえて、皆にとって、私に価値があるとするならば」

トラレ
「召喚する子にもよるけど、一般的な魔術師であれば1人を3時間くらい
使役させることができれば上出来なの。
契約とはまた別で、呼び出して使役した際のお話ね」

トラレ
「私の魔力はそんなものと比べものにならない。……そう、」

トラレ
「―― 22人全てを使役し、全てをフル稼働させて。
10年は余裕で持つほどの力を保有している」

トラレ
「―― こう見えても、結構凄い魔女なのよ、私」

トラレ
「さて、天啓は……これは皆同じ答えが出てくると思うけれど。
皆の総意として、この子に応えてもらいましょう」

「―― ワン・オラクル。
―― オープン・ザ・カード 『XXI.THE WORLD』」

トラレ
「……本当に代表を引いちゃったわ。
うーん、あなたが顔を出すのはもう少し回数を重ねてからの方がいいのよ。
存在が大きいから」

???
「えぇ、承知しておりますわ。
ぼんやりと今回も漂わせていただきます」

トラレ
「ごめんねぇ。それじゃあ、もう一人呼ぶわね。
改めて、代表して……」

「―― ワン・オラクル。
―― オープン・ザ・カード 『XIV.TEMPERANCE』」

トラレ
「―― コール! サモン『テラート・テンペランス』!」

テラート
「―― 節制、テラート・テンペランス。主様に従い、参上いたしました」

テラート
「なんて。堅苦しいことはなしにしましょう。
ふふ、まさかシィーンと一緒に呼ばれるなんて。凄いことが起きるのかしら?」

トラレ
「いいえ。
代表者に応えてもらおうとした結果、代表者と言われるべき2人が出てきたわ」

テラート
「まあ! 流石魔女様!
ふさわしい2人を見事に選び抜かれてお見事だわ~」

トラレ
(まさか本当に、アルカーナムで中枢を担う2人が呼び出されるとは思わなかったわ)

シィーン
(そして早々に私の名前を呼ばれちゃったわ)

シィーン
「さて。まず初めに、私たちが『代表』として選ばれたことには理由があります。
私はアルカーナムという『世界の器や機構を維持』する役割を担っております。
箱庭世界としての中枢を担う存在。所謂『神』に当たる存在です」

シィーン
「ですから、私が消滅すればアルカーナムが崩壊する。
まさに『世界』の名にふさわしいでしょう?」

テラート
「私はアルカーナムの『人格』、あるいは『精神』の中枢を担っているの。
皆が皆、占いのために存在している。それが存在理由となっている。
その存在理由の中枢に当たるのが私なの」

テラート
「だから、私が消滅すればアルカーナムは己の役割を忘れ、道具としての自我が崩壊するの。
質問である『価値』に対する価値観そのものが私、といってもいいのかも」

テラート
「我々は人々に占いを齎す存在である。天啓を与えし者である。
示すべき結果のために死力を尽くし、役割を放棄することは決して許さない」

テラート
「それが、私たちの価値。私たちの存在理由。
『絶対に当たる占いを行う道具』という価値がある」

テラート
「それ以上も、それ以下もないの。
私たちにとって、それが絶対の価値であるが故にね」

シィーン
「私たちにとってはそれが至高の喜び。
中には人を嫌う者や適当に振る舞う者もおりますが、それらは全て『個』の思想であるが故のもの」

シィーン
「占いを行う喜びは、アルカーナムの総意ですわ」

テラート
「否定的な子たちも、自分の立場や役割は理解しているのよ。
だから拒絶することはない。我らが亡き主のために本来の道具の在り方から逸脱しない」

テラート
「そう在ることが役割で、道具としての姿。
それが何よりもの幸福だと刻み込まれているから」

テラート
「そう。アルカーナムは偉大なる魔術師に作られた古代魔法具」

テラート
「そのように価値を与えられたの」

テラート
「そして私はこの思考回路そのもの。我らに幸福を説く者。
決して逸脱することを許さぬ者」

テラート
「……なぁんて、堅苦しく振る舞うのは嫌いなのよ。
こうしてゆっくりお茶をしてお話することの方がずっとずっと大好きだわ」

シィーン
「うふふ、流石テラート。
そう言いながらも我らの在り方を全て語ってくれるじゃない」

テラート
「だって価値のお話でしょ? 私が一番アルカーナムの価値を語れるわよ」

テラート
「……中にはこれが、可哀想だと考える人もいるかもしれないけれど」

テラート
「私たちにとっては、この価値の通りに存在することが何よりもの幸せなのよ」

テラート
「あ、魔女様~ 私魔女様の紅茶を頂いて帰りたいわ」

シィーン
「それなら魔女様、私もお茶菓子を食べて帰りたいわ」

テラート
「ねぇねぇ、このまま皆呼んでお茶会にしましょう!
それがいいわ、私も堅苦しいお話して疲れちゃったもの」

シィーン
「賛成~! 久しぶりに全員呼び出すのもいいじゃない? ね、ね、やりましょ?」

トラレ
「あ~~~ 最高権限者2人が自由奔放~~~」