Chapter01-05

記録者: 回向 (ENo. 68)
Version: 1 | 確定日時: 2025-11-27 04:00:00

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  ──カシャ


シャッターの音の後、あなたを向いていたレンズがふと向きを変える。
何か未知のことを認識した様子で、その後にまたあなたにひとみが向いた。

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「観察対象、最終質問を提示します」


この対話の終端が近いようだ。
不思議な白い部屋での対話は、何の説明もなく始まり、そして終わるらしい。

奇妙な観察者は感慨もなく告げ、一拍。

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──あなたは、何をもって“自らの存在に価値がある”と判断しますか?


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「それは役割でも、使命でも、功績でも構いません。
 また、価値は不要であるとする見解も有益な観測結果となります。

 あなた自身が、どの基準で己を“肯定”し、
 何をもって“無価値”とせずにいられるのか。

 その価値に他者を如何にして組み込んでいるのか、
 その内的構造を、開示してください」


──あなたは自らに〝どのような価値〟があると認識していますか?

 
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「当機は、あなたの答えを推論する事はできても──
 代弁する事はできません
 故に此度は、 あなた自身の言葉で語られることを要求します」
Answer
「……? なんかそっちにはあんの?」

「この部屋もよくわかんないねえ。
地続きのワンルームに見えるのに、俺には何も見えないや」


「……ありゃ、もう最後? まあいいけど。
言い残したことはあるか、とかじゃないよな」





「なんか答えにくいことばっか聞かれたなあ……
いやちゃんと答えますよ。ちょいお待ちを」


「価値、価値ね〜……」

「まーベタだけど、やっぱ人に喜んでもらえた時だろ?」

「それが俺じゃなくて良かったことかもしんなくても」

「良い影響を誰かにあげられたんなら、俺は嬉しい」
「うん、嬉しい嬉しい……」

「……」


「けどま、やっぱ一番は……」

「長く覚えてくれること、語り継いでくれることで」

「記憶に残してくれるような価値を認めてくれた時が……
自分本意だけどさ、ありがたいよね」





「てかさ〜、なんでむずい質問ばっかなのかわかったわ」

「こんなこざっぱりした実質ひとりの空間なのに、
自分以外の誰かがいないと難しい概念についてばっか聞いてくるせいだって」
「ぜったい!」

「別にいいけどさ」
「このぼやきも観測?されちゃいねーんだろうが……」

「まったく。今度会う時はもっと賑やかなところで聞きなさいよね」