Chapter07-fin

記録者: シャルティオ (ENo. 14)
Version: 1 | 確定日時: 2026-02-22 04:00:00

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あなたの言葉を最後まで聴いて、
その魔女は口元の笑みをゆっくりと深めていた。
吊りあがった弧状はかえって不気味にも見えただろう。
それからぱっと目元も弧状を描き、
あなたが否定をせど肯定をせど、うんうんと頷いた。

ふ、と部屋の端が溶けて行くのが見える。
あなたはもう知っているだろう、
今回のトイカケはこれで終わりなのだと。
魔女もそれを察したのか、あなたにまた視線を戻してにっこり笑った。

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「ふふっ、今日は楽しかったわ~~!
 今日の事はしっかり覚えておくわね~~~!」

声は軽やかで、笑い声さえ含んでいるのに、どこか底知れぬ影を帯びている。
立ち上がろうと床に着けられる脚は、蜘蛛の足先のようでもあった。

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「またいつか、貰いに行くから────」


次の瞬間、魔女の姿は白い部屋の空気に溶けるように、ふわりと消えていた。
……あなたも気付けば元の場所に戻れるのだろう。


ここトイカケはありません。回想や感想を自由に記入したりしなかったりしてください。
Answer
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「………………」

 王の視線は揺らがない。
 ただ、ただ、真っ直ぐに。

 やがて溶け行く部屋の端。
 これで終わり、を察して、瞑目。

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「…………私は
 あげるつもりなんて、ないからな」


  ◇

 目を覚ませば、そこは自室。
 椅子に座ったまま、うたた寝していたらしい。
 隣を見れば、従者キィランがいた。

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「お目覚めですか、陛下。
 何か飲み物でもお持ちします?」

 問う従者に、別に良いよと首を振る。
 あの魔女から投げられたトイカケが、
 胸の中で揺れていた。

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「……また、夢を見たんだ。
 キィランに尋ねても良い?」

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「お前には──
 夢って、ある?」

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「………………」

 間。
 従者の表情から、感情は分からない。

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「………………」
「……陛下は、私がスラム育ちであること、
 ご存知ですよね?」

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「知ってる。
 詳しいのは兄さんだけど…………」

 スラム生活は、
 今日を生きるので精一杯なんですと
 従者が語った。

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「そんな毎日じゃ、
 明日が来ることも確約されぬ日々じゃ、
 夢なんて抱ける訳がないんですよぉ」
「未だ、夢の抱き方もよく分かりませんってェ」

 へら、と笑い、軽く流そうとする。
 そんな環境で、お前は。

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「まぁでも今は?
『シャル様の作る国を見てみたい』
『シャル様の支えになりたい』って……」

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「この想いを“夢”と呼んで良いのかは
 分かりかねます、が!
 呼んで良いのならば、
 それが私の夢にでもなるのでしょうや」

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「………………」
「その期待に応えられるよう、
 王として頑張るよ」

 僕が“王”である限り、
 お前は僕の味方なのだろう。

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「私が期待掛けてるからって
 無理して倒れられたら本末転倒なので、
 そこは履き違えないでくださいねぇ」

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「僕のこと何だと思ってる?????」

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「真面目で誠実で優しく善良であるが故に、
 ひとりで全て背負い込んで倒れる人」

「その上、病弱体質持ち」

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「ごめん否定し切れない…………」

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「自覚あるなら結構ですよぉ」
「私は私で、シャル様を追い詰めないよう
 意識はしますのでぇ…………」